このブログを検索




今週の小ネタ:オリーブオイルやっぱ健康に良すぎ、痩せるには筋トレか有酸素か、クエン酸は運動に効くのか?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

オリーブオイルやっぱ健康に良すぎ

オリーブオイルファンの皆さま、お待たせしました。またもや「オリーブオイルが体に良すぎる!」というデータ(R)が出てまして、しかも今回は割と精度が高めなメタ分析の結論になってます。

 

こちらは30件の前向きコホート研究をまとめたもので、参加者の総数は合計271万351人(18~96歳)。このうち24の研究がヨーロッパで、4つの研究が北米、1つの研究がアジアで、1つの研究が13カ国で行われております。ほとんどの研究は、アンケート調査でオリーブオイルの摂取量を測定し、追跡期間は3.5年から28年だったとのこと。

 

そこで、どんな結論が得られたのかと言いますと、

 

  • オリーブオイルの摂取が、オリーブオイルを大量に摂取している人ほど、全死因死亡率、心血管疾患死亡率、心血管疾患リスクの低下と関連していた。具体的には、

    心臓の血管が詰まるリスクは15%、冠状動脈性心疾患のリスクは15%、心血管の病気で死ぬリスクは23%、全死亡リスクは15%低下した。

 

  • 用量反応分析によると、オリーブオイルの摂取量が1日10グラム増えるごとに、心臓の血管が詰まるリスクは7%低下し(1日60グラムまで)、脳卒中リスクは5%低下した(1日35グラムまで)

 

  • さらに、全死亡リスクと心血管の病気で死ぬリスクの最大低下は、それぞれ1日22グラム、1日18グラムまでのオリーブオイル摂取で確認され、それ以上のメリットは認められなかった。

 

ということで、どれぐらいオリーブオイルを飲めば、どのようなメリットを得られるのかまでまとまっていて、非常に有益なデータではないでしょうか。

 

ただし、この分析におけるエビデンスの確実性は、心臓の血管が詰まるリスクについては中程度であり、その他のアウトカムについては低かった感じなのでご注意あれ。また、これらの研究は、調査スタート時のオリーブオイル摂取量しか評価していないので、その後で摂取量が変わっても把握できていないところも難点であります。

 

その点で、まだまだ決定版とは言えないデータですが、日々の食事の軽い参考にしていただければ幸いです。

 

 

痩せるには筋トレと有酸素運動はどっちもやるべき!

痩せるためには筋トレか?それとも有酸素運動か?みたいな議論はずっとありますが、新しいデータ(R)では、「どっちもやるしかないでしょう!」って結論になってておもしろかったです。

 

これは12週間のRCTで、肥満症の女性67名(平均36歳)を対象にしたもの。実験では、参加者を4つのグループのいずれかに割り付けています。

 

  1. 有酸素グループ:1回あたり20~50分の有酸素運動を、参加者の予備心拍数の40~80%で行う。

  2. 筋トレグループ:1セッション20~50分の筋トレで、6つのエクササイズを12回ずつ2~6セット行う。

  3. ミックスグループ:参加者の予備心拍数の40%~80%で行う10~25分間の有酸素運動と、3つの運動を12回×2~6セット行う10~25分間の筋トレを行う。

  4. 比較グループ:運動はしない。

 

それぞれの運動は週3回のペースで指示され、運動セッションはすべて研究チームが監督したとのこと。どの運動も、少しずつ負荷を上げるような設計になってたそうです。

 

その上で、参加者のVO2max、体型、人生の質、睡眠の質などを調べてみたら、結果はこんな感じになりました。

 

  • 運動の平均出席率が最も高かったのはミックスグループ(85%)、次いで筋トレグループ(76%)、有酸素グループ(71%)の順だった。

 

  • VO2max(体力の指標)は、すべての運動グループで実験の開始時よりも改善したが、筋トレグループ群だけが比較グループよりも増加した(+2.77mL/kg/分)。

 

  • 筋力に関しては、ベンチプレスの筋力は筋トレグループ(+11kg)とミックスグループ(+9.7kg)が、比較グループより増加した。

 

  • BMI(-1.4)、体重(-3.66kg)、脂肪量(-3.60kg)、体脂肪率(-1.8%)、ウエストサイズ(-4.1cm)は、ミックスグループが最も減少した。

 

  • 気分、生活の質、睡眠の質は、比較グループと比べてミックスグループで改善した。

 

ということで、基本的には、筋トレ+有酸素運動をしたグループが、最も体型と体力が改善したとの結果になっております。

 

まぁ、この研究のメインの目的は運動の実行可能性を探ることでして、多重比較の調整は行われておりません。そのせいで偽陽性の結果が出るリスクが高くなってますんで、そこは慎重に捉えてくださいませ。

 

とはいえ、似たような結果は過去にもいくつか出てますんで、結局のところ「どっちがよい?」じゃなくて、「どっちもしなさい!」って結論になりそうですが。

 

 

クエン酸は運動パフォーマンスアップによさげ

クエン酸は疲れに効くか?って問題については、まだハッキリした結論が得られてないんですけど、新しいデータ(R)では、「クエン酸で運動のパフォーマンスが改善する!」って結論になっておりました。

 

これはイランのフィットネス・チャレンジに出場した男性20名(24~32歳)を対象にした実験で、

 

  1. テストの3時間前に、参加者にクエン酸ナトリウム(体重1kgあたり0.5g)またはプラセボのドリンクを摂取してもらう(テストは2日間のウォッシュアウト期間で区切る)。

  2. 参加者には、懸垂、スクワット・ジャンプ、ディップス、ウォーキング・ランジ、腹筋、バーピー・デビル・プレスの6つの自重エクササイズを指示。各エクササイズは最大強度で2分間行われ、それぞれ2分間の休憩をはさむように申しわたされた。

  3. その後、みんなのパフォーマンスを各エクササイズの反復回数で測定。血中の乳酸値もチェックした。

 

みたいな内容になってます。すると、クエン酸ナトリウムを飲んだ場合は、プラセボよりも、フィットネス・チャレンジのパフォーマンスが向上し、その効果は、全エクササイズの平均向上率で+2.9%だったそうな。

 

なかでも改善が見られたのは、ウォーキングランジ(+5.1%)、懸垂(3.7%)、バーピー(+3.8%)で、最も改善が少なかったのはディップス(+1.1%)だったとのこと。また、運動後の乳酸は、プラセボよりクエン酸ナトリウムの方が良く、効果量も大きかったそうです。

 

こうして見ると、クエン酸によって運動のパフォーマンスが上がり、さらには筋肉疲労も改善するのかなーって気がするわけです。クエン酸は、細胞におけるエネルギー生産で大事な役割を持っているので、サプリでメリットを得られるても不思議じゃないですからね。

 

とはいえ、この研究は、多重比較の調整をしていないので、そこらへんはくれぐれもご注意ください。データの質は決して高いわけじゃありませんのでー。


スポンサーリンク

スポンサーリンク

ホーム item

search

ABOUT

自分の写真
1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

INSTAGRAM