幸せになろうと頑張るほど幸せから遠ざかるぞ!という話
「成功するから幸福になるんじゃない、幸福だから成功するんだ!」とハーバード大のショーン・エイカー教授は主張してまして、当ブログでも現在の幸福学の成果について何度か書いております。が、近ごろ読んだ論文(1)によれば、「幸せになろうと頑張るほど幸せから遠ざかる」傾向があるんだそうな。
これはデンバー大学の実験でして、320人の被験者に「幸福に重きを置いているかどうか?」のアンケートを取ったうえで、数週間にわたって日記をつけてもらったところ、幸福感を重要視している人ほど孤独感に襲われやすく、うつ病になる確率も高かったらしい。
また、もう1つの実験では、被験者に「幸福になると社会的に成功する確率も高くなります」といった内容のニュース記事を読んでもらったんですね。その後でアンケートを取ってみると、記事を読んだ被験者は「孤独」や「人の輪から取り残された感覚」を覚えやすく、実際にプロゲステロン(親密さを感じると増加するホルモン)の分泌量も下がってたらしい。
こういった現象が起きる理由は、幸福のことばっかり考えてると「自己」の内面に集中しすぎちゃって、対人関係にまで気が回らなくなっちゃうから。幸福感を追い求めたせいで自分勝手になってしまうわけですね。
とはいえ、もちろん幸福がダメだと言ってるわけじゃございません。過去の研究でも、幸福度の高い人は人間関係が良くなり、メンタルヘルスも改善するってデータが山ほど出てますしね(2)。
つまり、仕事や遊びに集中した結果として幸福を感じるぶんには問題はなし。ところが、幸福の追求を目的にすると副作用が出ちゃうよって話であります。
実際、「期待を捨てた高齢者のほうが幸せだった」とか「科学的に正しい幸福の方程式は『期待しないほうが幸せになれる!』だった」なんて話もありますんで、幸福のことは考えず、何も期待せずに目の前の作業に集中するのが良さげですねー。