「糖質制限で気分が良くなるのはアドレナリンが原因」糖質制限で気分が良くなる理由 その2
「糖質をカットすれば気持ちも行動力もアップ!ってホント?」の続きです。
以前の話をおさらいしますと、「糖質制限をすると気分が良くなる!」って説をよく聞きますが、それは「決して糖質が悪いからではない」という結論でした。なぜなら、
- 長期的にみると糖質を食べている人のほうがメンタルは安定している
- 糖質で気分が上下するのはあくまで短期的な話でしかない
ってデータがあったからですね。
では、糖質制限で気分が良くなるのはなぜでしょう? 結論からいえば、これはストレスホルモンが原因の可能性が高いように思われます。
というのも、血中の糖質がスッカラカンになると、ヒトの体は肝臓から糖を作り出そうとしますが、このときに大量のアドレナリンが分泌されるんですね(1,2,3)。糖質制限ダイエットでおなじみの「糖新生」には、ストレスホルモンの作用が欠かせないわけです。
ご存じのとおり、アドレナリンは人間を戦闘態勢にするホルモン。こいつが分泌されると、
- 体温が上昇!
- 活力がアップ!
- 精神の鋭さがアップ!
- 認知機能が向上!
- 食欲の減少!
といった状態になります。まさに前回に紹介した、
意識がクリアになり、体も軽くなりました。
行動力も、気持ちもずっとアップしている印象です。
って体験談をほうふつとさせる効果じゃないでしょうか。つまり、糖質制限で気分が良くなるのは、糖質が悪さをしていたからではなく、たんにストレスホルモンの量が増えたからじゃない?って話です。
この状態が永遠につづけば、「糖質制限こそが人生のファイナルアンサー!」なんて主張も正しいんでしょうが、事はそう簡単にはいきません。
ヒトは変化に慣れるようにできてまして、やがてアドレナリンにも体が適応していっちゃうんですね。有名なのは1944年のミネソタ飢餓実験(4)で、被験者の摂取カロリーを減らしまくったところ、そのストレスに応じてアドレナリンが大量に増加。その結果、1mgのアドレナリン注射にすら、まったく無反応になったんだとか。怖いですねぇ。
そんなわけで、極端な糖質制限でつねにアドレナリンが過剰な状態にあると、やがてどんどん耐性がついてきて、急に激しい疲れやうつ状態が襲ってくる可能性が大。また、アドレナリンの上昇は老化の原因ともなるコルチゾールも分泌させますんで、アンチエイジングにもよろしくないでしょう。
もちろん、アドレナリンの耐性は個人差が大きいところではありますが、やはり定期的にチートデイなどで炭水化物をちゃんと摂って、体のストレス反応をゆるめてあげるのは大事かなーと思います。やっぱ、糖質さえ抜けば気分が最高に!なんて美味い話はないもんですねぇ。