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自分の自信と能力のバランスを把握するための「自信-能力グリッド」


以前にトマス・チャモロ=プレミュージックの「自信」って本を紹介しました。


当代一のパーソナリティ学者が「自信」の問題について書いた本で、「自信は成功するために必要ない!どころか、自信があっても他人には嫌われるし能力は育たないしで逆効果!」と喝破する痛快な一冊であります。


で、本書のベースになっているのが、以下の「自信-能力グリッド」。自信の高さと能力の高さを軸にヒトのパーソナリティを分類した図で、自分の立ち位置を把握するのに役立つかと思います。


それぞれのポジションをざっくり解説しますと、


1・役に立たない自信
能力がないのに自信だけあるパターン。博士いわく「自信のある人間の大半はこのポジションに位置する」んだそうな。手厳しいですね。


実際の能力ではなく自己欺瞞がベースなので、他者から自分がどう見られているかを正確に把握できないうえ、短期的には周りに「この人って能力がありそう」と思わせてしまうため、事態を悪化させる傾向が強い。また、自信があるせいで能力が発達しないもんで、その結果として鬱状態になってしまうパターンが多いとか。


自分がこのタイプだった場合、すぐに他人からのフィードバックをもらって、「役に立たない自信」のポジションから「現実的な自信喪失状態」に移動するのが大事。トマス博士いわく、「研究によれば、たいていの場合は他人が能力を評価したほうが正しい」とのことで、まずは周囲の批評を聞くのが大事だそうな。


2・現実的な自信喪失状態
自分の能力のなさを正確に把握しているパターン。自身の弱点と限界に気づいているぶんだけ、「役に立たない自信」よりはだいぶマシ。統計的にみても、「自分は能力がない」と思ったときは、実際に現実もその通りである傾向が高いらしい。


そんなわけで、このポジションにいる人は、自信のなさを改善のモチベーションにして進むのが吉。最終的には右上に位置する「現実的な自信」のポジションに移動するのが目標になります。


3・完璧主義者/自己批判
能力があるのに自信がないパターン。実績があって周囲の評価も高いのに、なぜか自信がついてこない状態で、トマス博士によれば「並外れた成功者やアスリート、芸術家などに多い」んだそうな。つねに満足できない性質が、逆に成功の原動力になったわけですね。


このタイプは心の底に不安を抱えているので、博士いわく「基本的に能力は高いので、とりあえず不安を隠して生きればOK」らしい。実際、多くの成功者も、不安を隠して生きる人が多いんだそうな。わかる気がするなぁ。


4・現実的な自信
能力と自信を備えた最強パターン。いったんこのポジションにつけば、あとは自分にうぬぼれてスキルの発達が止まらないように注意するだけ。博士いわく、このポジションについた者にしか真の自信を楽しめないんだそうな。

とはいえ、わたしも含めて大抵の人は自信がない状態なわけですから、結局は自信のなさのメリットを活かす方向で考えるのが現実的な感じ。本書には、自信のなさがもたらすメリットに関してもいろいろ書かれていますが、長くなってきたので次回に続きます。


credit: Barb D'Arpino via FindCC
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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。