このブログを検索




スマホを2週間やめてみたら…睡眠・幸福度・集中力が驚くほど回復した話

  

 

「スマホばっか見てると、なんか疲れる気がする……」みたいに思ったことがある人は多いんじゃないでしょうか。気がつくとスマホばっか見てるから、「ちょっとデジタルから離れた生活をしてみるぞ!」と思ったけどやっぱり続かないなんて人もよくいるでしょう。

 

そんな中、「スマホのインターネット接続を遮断したら、メンタルも集中力も回復した!」という面白い実験(R)が報告されたんで、内容をメモっておきます。デジタル疲れを感じている人には実用的なヒントになりそうなんで、参考にしてくださいませ。

 

今回の実験をざっくり紹介すると、以下のようになります。

 

  • 対象は267人(平均年齢32歳)
  • みんなのスマホに専用アプリをインストールさせ、インターネットへのアクセスだけを完全に遮断する(ただし、電話とSMSは使えるし、PCなど他のデバイスでのネット利用も自由)
  • 実験期間は2〜4週間で、いつもどおりにスマホを使い続けた「コントロール期間」と比べて、「ネット遮断期間」にどのような変化が起きたのかを調べる

 

こんな感じで、「ネットだけが使えないスマホで過ごしたら、メンタルに良い影響が出るのか?」ってポイントを調べたわけですね。

 

そして、この「スマホ断ち」がどのような変化を起こしたのかといいますと、

 

  • スマホを使う時間が、1日あたり131〜153分減った
  • 主観的な幸福感にも明確な改善が見られた(気分と満足感が改善して、ネガティブな感情が減ったらしい)
  • うつ、不安、怒り、対人不安も減った
  • 注意力テストの成績も向上し、自己報告でも注意の散漫が減った

 

このような、個人的には「これを試したほうがいいでしょう」と言えそうなレベルの変化が出てると思うわけです。また、この実験に参加した人の83%が「スマホを減らしたい」と考えていたそうで、つまり自発的にスマホの使用量を減らしたい人たちにとって、この方法はかなり有効そうだってことですな。

 

で、この手の話を聞くと、「やっぱりスマホって悪なんだ!」とか思ってしまいがちなんだけど、そこはまた別の話だったりします。というのも、過去の研究もまとめて考えると、スマホの使用がメンタルに与える影響は、ネガティブにもポジティブにもなりうるとしか言いようがない感じでして、たとえば、

 

  • SNSでの他者とのつながりは、孤独感の軽減につながる場合もある
  • 一方で、スマホを使いすぎたり目的なく触っていると、不安やうつとの関連が見られることもある

 

みたいに、スマホには良い面と悪い面を示したデータがどちらも大量にあるんですよね。これはおそらく、みんないろんな方法でスマホを使うため、統一した結果を出すのが不可能なんだと思われます。つまり、「何を、どれだけ、どんな気持ちで使うか」がカギだって話ですね。

 

そこで、今回の実験で得られた改善効果について、もうちょい詳しく見てみましょう。

 

  1.  睡眠の質と量がアップした:参加者の自己報告によれば、スマホのネット接続を断つことで睡眠時間が増えたとのこと。この結果は理にかなっていて、スマホのブルーライトはメラトニンの分泌を妨げるし、寝る直前までSNSや動画を見ていると、脳が興奮して寝つきが悪くなるのは間違いないですからね。睡眠不足は、それだけでうつや不安のリスクを高め、集中力や記憶力も下げるんで、スマホを減らして睡眠の質が上がるのは当然でしょう。


  2. 「情報の洪水」から解放されてストレスが減る:一説には、SNSやニュースアプリなどで日々浴びている情報の量は、人間の処理能力を大幅に超えているなどとも言われております。最近の研究では、あまりにも多くの情報を浴びると脳が“オーバーヒート”し、注意力の持続が難しくなると報告されているので、ネット遮断によって情報過多から解放されることで、集中力が改善された可能性は十分あるでしょうな。


  3. オフライン時間の質が上がる:調査によると、ネット遮断中に、多くの参加者は、散歩やジョギング、読書、対面でのコミュニケーション、自然の中で過ごす時間などの活動が増えたんだそうな。これらはどれも、「メンタルの健康に良い」とされているんで、ネットを遮断することで、結果的に幸福度が高い行動に時間を割けるようになったと言えるでしょうな。

 

ということで、「それなら自分もスマホ断ちやってみようかな……」と思った人もおりましょうが、完全にネットを遮断するのはハードルが高いので、まずは以下のような“ちょい制限”からスタートしてみるのがおすすめです。

 

  • 最低でも就寝前の1時間はスマホに触れない:これは私も心がけてまして、ブルーライトと脳の興奮を避けて、質の良い睡眠を確保できるようになります。ベッドにスマホを持ち込まないルールをつくるだけでも効果的っすね。

 

  • SNSアプリを一時的にアンインストールする:特に週末などの、まとまった時間にSNSアプリを削除しちゃうのもおすすめ。幸いにも私はスマホでSNSを見る習慣がないので、そもそもアプリも入れてないんですが、SNS廃人の方は必ずやるべきでしょうな。

 

  • 週に1日だけ「ノースマホデー」をつくる:思い切って「日曜だけはスマホ使わない」など、自分にとって現実的なルールを設定してみるのもいいっすね。休日にこれをやると、自然と読書や散歩の量が増えて非常によろしいのではないでしょうか。

 

そんなわけで、決してスマホは悪いものではないんだけれど、睡眠、集中力、メンタルの不調に悩んでいる方にとっては、いったん遮断してみるのも手でしょう。それだけで睡眠の質が上がったり、情報過多から脱却できるなら、かなりコスパの良い介入ではないでしょうか。


スポンサーリンク

スポンサーリンク

ホーム item

search

ABOUT

自分の写真
1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

INSTAGRAM