「糖質にはドラッグと同じ中毒性が!」はどこまで本当か?
糖質制限ダイエットの世界では、よく「糖質にはドラッグど同じ中毒性が!」などと言われます。
糖質はコカインと同じ?
有名なところでは、「『砂糖』をやめれば10歳若返る!」(http://amzn.to/2t41saw)の白澤卓二さんとか、
糖質が脳へダイレクトに影響を与える物質だからです。
白砂糖や炭水化物を摂ると脳のA10神経系というところが刺激されます。すると、ドーパミンという物質が分泌されて、強い快感をもたらします。
このメカニズムは、コカインなどのドラッグを服用したときとまったく同じです。糖質の摂取時とコカイン摂取時で脳の同じ回路が使われていると考えれば、その中毒性の恐ろしさがわかっていただけるのではないでしょうか。
「炭水化物が人類を滅ぼす」(http://amzn.to/2t4f5Xa)で有名な夏井睦さんとか、
糖質摂取者の体内では、糖質摂取直後に「何か」が上昇して精神的満足を生み出し、その後にその「何か」が低下した時に、精神的飢餓感が発生しているはずだ。それは何だろうか。
その「何か」とは血糖だろう。糖質摂取直後に起こる血糖の急激な上昇が、食後の陶酔感と幸福感をもたらし、その後に血糖値が低下し始めると、体は「血糖切れ」状態となる。すると、喫煙者がニコチン切れでタバコを欲するように、糖質摂取者は血糖切れでイライラし始め、糖質を食べたくなる。
「 炭水化物が人類を滅ぼす 」より
かなり恐ろしげな言葉がならんでおります。これが事実なら「やはり糖質は悪!」って話になっちゃいますが、個人的には、この説はどうにも怪しいのではないかと。
ヒトには糖質中毒の症状が出ない
というのも、糖質の中毒性を実証したデータって、いまのところマウス実験しか存在してないんですよ。
代表的なのは2008年の実験(1)で、マウスたちに断続的に砂糖をあたえ続けたところ、大量のドーパミンとオピオイド(モルヒネに近い脳内麻薬の一種)が分泌されたとか。実験を止めたあとには、砂糖の禁断症状まで確認されてまして、まさにドラッグ中毒にそっくりな状態になっちゃった模様。怖いですねぇ。
ところが、おもしろいもんで、ヒトを対象にした研究では同じ現象が出てこないんですな。
有名なのは、肥満研究で有名なアキム・ピータース博士が2012年に出したレビュー(2)。ここで博士は、過去に行われた糖質とドーパミンに関する実験を再検討しつつ、
動物実験で「糖質中毒」が見られたという事実を、軽はずみに人間の肥満の原因として当てはめるべきではない。
と言いきっております。個人的にも、マウスで糖質中毒が見られたのは、そもそも実験デザインに問題があるので、砂糖の悪影響とは言い切れない可能性もあるんじゃないかと。
糖質研究で有名なデビッド・ベントン博士の論文(3)でも結論は同じで、
ヒトを対象にした研究で、糖質が身体的な中毒症状を引き起こし、摂食障害につながることを実証したデータはなかった。
とのこと。ベントン博士によれば、過食障害をわずらった人の一部には、砂糖中毒に近い症状も見られるものの、多くの人にとっては無視してもいいレベルっぽい。
まとめ
そんなわけで、いろいろ総合してみると、どうも「糖質中毒」は恐怖を煽りすぎのような気がいたします。
まぁ、精製された砂糖は食欲ホルモンの働きを乱すって意見(4)もあるんで、「完全に砂糖は安全!」って話にはならんのですが、あくまで「糖質中毒」とは無関係の話。過度に怖がらず、自分の目的にあった糖質量を目指したいものです。
credit: Logan Brumm Photography and Design via FindCC