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仕事が終わったとたんに風邪でぶっ倒れるケースが多いのはなぜか?

Fluwork

 

 いまでこそ風邪を引かなくなりましたが、かつてよくあったのが、仕事が一段落ついたとたんに風邪で倒れちゃうパータンであります。周囲に聞いてみると、多忙な職場ではメジャーな現象だそうで、ばくぜんと「病は気からってことなのかなぁ…」などと思っておりました。

  

 

そんな中で見つけたのが、2012年の論文(1)。カーネギーメロン大学が、ストレスと免疫力の関係を調べた研究であります。

 

 

被験者は276人の男女で、まずは全員の生活環境を調べて、各自のストレスレベルを記録。続いて、鼻からウイルスを送り込んで、わざと風邪にかかってもらったんですね。すると、日ごろのストレスが多い被験者は、風邪にかかる確率が2倍にはね上がったんだそうな。

 

 

こういった現象が起きるのは、ストレスホルモンとして有名な「コルチゾール」が原因であります。

 

 

コルチゾールはストレスに反応して、体を戦闘態勢に変えるためのホルモンでして、分泌量が増えると免疫システムの機能が下がってしまうんですね。いったん免疫の仕事をお休みさせて、他のリソースをストレス対策にまわしてるわけです。

 

 

つまり、

 

  1. 仕事でストレスがたまる
  2. ストレスでコルチゾールが出る
  3. コルチゾールが免疫の働きを抑える
  4. 免疫が下がった体にウイルスが侵入
  5. 感染が進むが体に風邪の症状が出ない(免疫が働かないので)
  6. 本当は風邪を引いているのに、本人には自覚症状が出ない
  7. 仕事が終わってストレスが消える
  8. コルチゾールが減り、免疫の働きがもとにもどる
  9. 発症!

 

といった流れになっております。本当は風邪にかかっているのに、ストレスが大きい状態では症状が出ないわけですね。

 

 

また、前述の論文でコワいのが、慢性的にストレスが多いと、免疫細胞がコルチゾールに反応しなくなっていくところ。いつもストレスを感じていると、どんどん風邪に弱い体に変わっちゃうわけですな。

 

 

そんなわけで、やっぱりストレス対策は超重要。「風邪を引くなんて気合いが足りない!」なんて精神論には、耳をかさないほうがよさげであります。

 

 

credit: pangalactic gargleblaster and the heart of gold via FindCC


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。