一流の経済学者に学ぶ、とにかく速く大量の本を読みまくる方法
つねづね「もっと本をたくさん読めたらなぁ」と思っているワタクシ。以前にも「1行あたりの文字数を長くすると速く読める」みたいな話を紹介しましたが、経済学者のタイラー・コーエンさんのブログに、ズバリ「本を速く読む方法」ってエッセイがありまして、これがなかなか楽しい(1)。
コーエンさんは「インセンティブ」や「フレーミング」などの著作で有名なトップクラスの経済学者で、「人の名前を忘れたときのゴマかしかた」なんてネタも書いてる変わった人であります。
経済学的にみた「本を速く読む方法」
で、経済学的にみた「本を速く読む方法」とは、
より速く、より多くの本を読む最高の方法は、大量の本を読むこと。とにかく大量にだ。そして、多読のスタート時期は速いほうがいい。そうすれば、いま読んでいる本に何が書いてあるのかが、すぐにわかるようになる。限界効用の観点から言えば、速く本を読むことは、時に「何も読んでいない」のと同じことになる。
とのこと。
どういうことかと言いますと、
- たくさんの本を読む
- 読んだ本のジャンルにくわしくなる
- 次に読む本は、前の本よりも内容を知っている
- 読書スピードが上がる!
って話であります。「当たり前じゃん!」と言われそうですけども、「読書家」と呼ばれる方々のなかには、得てして同じような内容の本を乱読しているだけのケースが多いですからね。それは、経済学的にみても「何も読んでいない」のと同じことなんだ、と。耳が痛い!
読めば読むほど1冊あたりの情報の価値は下がる
さらにコーエンさんいわく、
読書のために大量の時間コストを費やしたとしても、思ったほど効率よく情報を消費できているわけじゃないことに注意してほしい。読書家たちは、「高い先行費用」と「低い限界費用」の組み合わせを選んだだけなのだ。
これも楽しい指摘でして、要するに、
- 読書のためにたくさんの時間を使う
- いっぱい本が読めた!ヤッター!
- でも、本を読むほど役立つ情報の量は減る
- 結局は情報の消費効率は下がる
みたいな話です。たくさんの本を読むほど1冊あたりの情報の価値が下がっていくのは、わたしも日常的に実感するところです。とくにビジネス書や自己啓発書ではおなじみの現象と言いますか。
それでは、コーエンさんはどんな風に本を読んでいるかというと、
速く大量に読むためのもう1つの方法は、つまらない本に見切りをつけること。わたしの場合、10冊を読み始めて最後まで進むのは1冊ぐらいだ。
とのこと。機会費用を重視する経済学者らしい判断かと思います。わたしも、かつては必ず最後まで本は読んでましたけど、40代が近くなると機会費用のほうが大事なんで、ガンガン途中で止めちゃうようになりました。
まとめ
というわけで、経済学的にみた速読&多読法は、
- たくさん読んでりゃ誰でも速く読めるようにはなる
- ただし、そのぶん情報の摂取効率は下がっちゃうことを意識する
- 機会費用がもったいないので、つまらない本は容赦なく切り捨てる
といった感じ。肩すかしに感じた方もいらっしゃいましょうが、結局はこれが真実のような気がいたします。
とはいえ、「そうは言っても、難しい本だと最初の1冊すら読めないよ!」という方には、ハーバード大のショーン・エイカーがオススメしてた「難しいけど重要な本を読み抜くための4ステップ」あたりが参考になるかもしれません。