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禅の瞑想を10分やるだけでも集中力はグンと上がる!

Burainmeditate 

 

 たった10分の数息観で集中力が上がる!

禅の瞑想に「数息観」というテクニックがあります。具体的には、

 

  1. 背筋を伸ばし、前方1.5mのあたりをぼんやりと見つめる(目は閉じない)
  2. 吐く息を数える
  3. 吐く息を10まで数えたら、また1にもどる
  4. 息を数え続ける
  5. 意識がそれたら静かに呼吸のカウントにもどる


というもの。何ともシンプルですが、臨済宗の世界では奥義のひとつとも呼ばれてまして、認知行動療法の世界でも使われてたりします。

 

 

その効果についてはここ数年でおもしろい研究が出てまして、たとえば「脳には、自分を変える「6つの力」がある」などの著作で有名なリチャード・デビッドソンが2014年に行った実験(1)では、4週間の数息観トレーニングでマインドフルネスと集中力のレベルが改善したとか。

 

 

まだまだデータ数が少ないのが難点ですけども、希望の持てる結果ではないかと。個人的にも、数息観はシンプルで使い勝手のよい方法だなーと感じております。

 

 

で、近ごろ新たに出た論文(2)では、「たった10分の数息観でも集中力はグンと上がる!」って結果が出てておもしろいです。

 

 

これはウィスコンシン大学の実験で、瞑想でマルチタスクの害を防げるかを調べたもの。マルチタスクの害については何度も書いているとおりで、仕事の生産性が激減するのはもちろん、時間のプレッシャーでストレスが増えたりしちゃう。なんせ、スマホが目の前に置いてあるだけでも人間の集中力は途切れると言うから恐ろしいもんです。

 



 

普段から落ち着きがない人ほど瞑想で集中力が上がる

研究者いわく、

 

マルチタスクで作業を行う人は、ひとつの作業に没頭するかわりに、一度にたくさんのものをモニタリングしている。その結果、注意力は分割されてしまう。

 

そこで私たちは、マインドフルネスな作業がマルチタスクの害を防いでくれるのではないかと考えた。マインドフルネスはひとつの対象に意識を向け、注意力への負担が少ない。理論的には、マインドフルネスはマルチタスクと真逆の概念だからだ。

 

とのこと。実験は1,683名を対象に行われたもので、まずは全員にいつもの作業状態を聞いて、

 

  1. 普段からマルチタスクが少ないグループ
  2. 普段からマルチタスクばっかしてるグループ

 

の2つに分類。そのうえで、みんなに「フランカー課題」のような頭に負担がかかる作業をしてもらったんですね。

 

 

このとき、さらに全員を以下の2グループにわけたんですね。

 

  1. 作業をしたあとで10分の数息観
  2. 作業をしたあとで10分のウェブサーフィン

 

ここから全員に同じような作業をくり返してもらったところ、

 

  • 普段からマルチタスクが多い参加者ほど数息観で集中力が改善!作業の成績もアップ!
  • ただし、普段からマルチタスクが少ない人には、数息観のメリットは少なかった

 

みたいな感じだったんですね。とにかく、普段から落ち着きがない人ほど数息観のご利益を得やすいみたい。

 

もちろん、永遠に集中力を保つのは不可能だ。しかし、注意がそれたことに気づいたら、すぐに呼吸にもどって何度も数えなおせばいい。そのたびに、あなたの注意力は強化されていく。

 

とのことで、数息観が集中力アップにもたらす効果が強調されております。

 

 

もちろん瞑想と集中力の関係についてはまだまだデータ不足ですけども、それなりに面白い実験が増えてきたなーという印象。とりあえず、何週間も瞑想のトレーニングを積まなくとも、10分の数息観だけですぐにご利益があるかもしれないのはありがたいですねぇ。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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