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献血でがんや心疾患にかからなくなる!ってどこまで本当?

Blood donation

  

献血の健康効果についてご質問をいただきました。

 

献血をすると健康にいいという話を聞きました。血を抜くとコレステロールや動脈硬化がなくなるというのですが、どうも怪しい気がします。鈴木さんはどうお考えでしょうか?

 

とのこと。確かに「献血が体にいい!」って話は昔からありますねー。

 

 



献血で発がんや心疾患のリスクが減るかも

いかにもうさん臭い話のようですが、実はそれなりに根拠がある説だったりします。たとえば、

 

  • フィンランドで2,682名の男性を調べたところ、最低でも年に1回のペースで献血を行った人は心疾患のリスクが88%も少なかった(1998年,1)
  • およそ1,200名の参加者を2グループにわけ、いっぽうに年2回の献血をしてもらったところ、発がんリスクが低下した(2007年,2)
  • 定期的に献血を行っている52名と、普段は献血をしない30名をくらべたら、献血をしているほうが総コレステロールと中性脂肪の数値が低く、酸化コレステロールも少なかった(2013年,3)

 

みたいな感じ。なかなか面白い結果が出てますね。

 

 

こういった現象が起きるのは、献血によって体内の鉄分が減るからだと考えられております。もちろん鉄分は大事なミネラルですが、酸化ダメージに弱いもんで、多すぎると全身に炎症が起きちゃう可能性が高いんですね。

 

 

ただし「効果がない」とする研究もある

もっとも、だからといって献血が本当に体にいいかといえば、まだ議論がわかれるところではあります。たとえば2013年の調査(4)なんかだと、献血の回数が多い人と少ない人のあいだで動脈硬化の発症率は変わらなかったとか。

 

 

いまのところ、まだ全体的には実験数が少ないうえに、結果が食い違ってるデータも多いので、決定的なことは誰にも言えないかと思います。

 

 

そんなわけで、現時点での結論としてはは、

 

  • 普段から鉄分の摂取量が多い人は、献血でアンチエイジングができるかもしれない(赤身肉をいっぱい食べる人とか)
  • 若くて健康体の女性には、あんまアンチエイジングのメリットはないかも(生理で鉄分を放出しているので)

 

ってことぐらいです。まぁ献血をすれば無料で感染症のチェックが受けられますし、なによりも人様のお役に立てる喜びがありますんで、「ついでにアンチエイジングになればいいや」ぐらいの気持ちでやればいいんじゃないでしょうか。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。