腸内が正常な人がいくらヨーグルトや乳酸菌飲料をとっても健康効果はない件
「腸内細菌は大事!超大事!」って話を何度も書いてまして、わたしも善玉菌を詰め込んだプロバイオティクスを愛用しております。が、近ごろ出た論文(1)では、「健康な人がプロバイオティクスを飲んでもムダ!」って結論が出てまして、これがなかなか納得の内容でありました。
健康な人にはヨーグルトはムダ?
これはコペンハーゲン大学の調査で、「健康な人でもプロバイオティクスって効果があるの?」って問題について調べたもの。近ごろの健康業界ではプロバイオティクスが大ブームで、「腸内細菌で病気を予防!」みたいな風潮も出てきましたんで、お腹の調子が良い人にもヨーグルトや腸内細菌サプリは意味があるのかを調べるのは大事なわけです。
本論文は過去に出た7件のプロバイオティクス研究を精査した系統的レビューになってまして、科学的な正確さは高め。現時点ではかなり信頼のおける内容になっております。
データにふくまれるのは19〜88才の男女で、いずれも市販の乳酸菌飲料やヨーグルト、プロバイオティクスサプリなどを21〜42日間にわたって服用。そのうえで参加者の便を分析し、腸内フローラの変化を調べたんだそうな。
腸内が正常化したらプレバイオティクスのほうが大事
その結果を抜き出すと、
便の腸内フローラには、なんの変化もみられなかった。細菌の種類の多さや量の多さなどは、プラシーボとくらべても同じだったのだ。プロバイオティクスで腸内フローラが変わることを示したデータは1件だけだった。
とのこと。とにかく健康体の人がプロバイオティクスを飲んだところで、腸内フローラにはなんの影響もないんだ、と。
というと、「プロバイオティクスは金のムダなの?」って話になりそうですが、もちろんそんなことはございません。本論のポイントはあと2つありまして、
- 腸の働きが弱った人には、プロバイオティクスで症状が緩和する!
- いったん腸内フローラが正常化したら、あとはプレバイオティクスのほうが大事!
というもの。プレバイオティクスは腸内細菌のエサのことでして、当ブログでもイヌリンやガラクトオリゴ糖やレジスタントスターチなどを紹介してきました。要するに、
- 腸に異常が起きている人は、とりあえずプロバイオティクスで対処すべき
- いったん腸内環境がよくなったらプロバイオティクスは無意味なんで、あとはプレバイオティクスを重点的に!
みたいな話です。当然ながら、どんなビタミン剤も栄養が足りてたら意味がないわけで、その点はプロバイオティクスも同じわけですね。
身体に異常が起きてる場合はプロバイオティクスも有効
ちなみに、プロバイオティクスに関する他の系統的レビューを見てみると、
- 肥満の成人を対象にしたデータを精査したところ、プロバイオティクスには減量の効果がみられた(2015年,2)
- 高血圧の成人を対象にしたデータを精査したところ、プロバイオティクスには血圧を下げる効果がみられた(2014年,3)
- 糖尿病の成人を対象にしたデータを精査したところ、プロバイオティクスには糖代謝を改善する効果がみられた(2016年,4)
といった結果になってまして、やはり体に何らかの異常が起きている場合は、プロバイオティクスが効くケースは多いみたい。
そんなわけで、以上の話をまとめると、
- 身体に免疫系、または炎症系の異常が起きている場合はプロバイオティクスが有効!
- ただし、お腹の調子が良い人がプロバイオティクスを飲んでも病気の予防にはならない!(可能性が高い)
- 基本的にはプレバイオティクスで腸内フローラを豊かにするほうが重要!(かも)
みたいなところでしょう。 わたしはまだアレルギー症状があるので、もうちょいプロバイオティクスを飲み続けるつもりですが、早く無縁な身体になりたいもんです。