腸内フローラを豊かにしてくれる2つの飲み物が特定された件
近ごろ、史上最大級の腸内細菌レポートが2件も出まして、わたしのような健康オタク野郎のあいだで盛り上がっております。
腸内細菌の多様性を決める要素はなに?
ひとつはオランダの実験(1)で、対象者は1,135名。もうひとつはベルギーの実験(2)で、対象者は1,106名。どちらの研究も「腸内細菌の多様性を決める要素はなに?」ってのがポイントになっております。
以前にもちらっと書いたとおり、近年では「腸内細菌の量より種類の多さが大事なんじゃない?」って風潮がありまして、いろんなタイプの菌がお腹の中にいたほうが、アレルギーやリウマチのような免疫系の疾患にかかりにくいみたいなんですな。
で、実験では、どちらの研究チーム参加者の便サンプルを採取してDNA解析を行い、そのうえで全員の生活習慣と照らしあわせたんですね。その結果をざっくり並べると、
- オランダの研究では、腸内細菌の種類を増やす要素を126に絞り込んだ。具体的には、年齢、体重、身長、喫煙、睡眠、幼児期に母乳で育ったかどうかなど。
- ベルギーの研究も、オランダの研究と92%ぐらいは同じ結論。
- ただし、これだけ大規模に研究をしても、腸内細菌の変化の8〜19%しか説明できない。
みたいな感じ。いやー、まだまだ腸内細菌は謎が多い世界みたいですね。
腸内細菌の種類を増やすにはコーヒーと赤ワインが効く
まぁ年齢や身長はどうにもならないので、2つの研究からすぐに役立ちそうな知見を抜き出すと、以下のようになります。
▼かなりの確率で腸内細菌の種類が増えそうなもの
- コーヒー
- 赤ワイン
▼おそらく腸内細菌の種類が増えそうなもの
- バターミルク
- ヨーグルト
- お茶
▼腸内細菌の種類が増えるかどうかまだわからないもの
- フルーツ全般
- 野菜全般
▼腸内細菌の種類を減らしちゃうもの
- 高カロリーな食事
- 精製された炭水化物
- 全乳(何も加工処理していない牛乳)
- 食物繊維が少ない食品全般
- タバコ
- 胃酸の中和剤
- 抗生物質
- 糖尿病薬(メトホルミンとか)
こうしてみると、発酵食品が強いのは当然として、ポリフェノールの効果が意外なほど高そうな感じ。いっぽうでフルーツや野菜の効果は「まだデータ不足でわからない」って結論なのがビックリでした。腸内細菌は難しい…。
あと、近ごろ「若返りの薬」として有名なメトホルミンが、腸内細菌の種類を減らす可能性が高いってのも初耳でした。なかなか上手い話はないもんですなぁ。
というわけで、またひとつコーヒーやワイン好きには嬉しいデータが出てきた感じじゃないでしょうか。恐らく重要なのはポリフェノールだと思いますんで、カフェインが苦手な方はブルーベリーやココアなんかで代用していけばいいんじゃないかと。