自信があれば人間関係はうまくいく!の嘘
人間関係には自信が大事?
こないだ「自信があるかどうかは生まれつきの問題!」って話を書いたところ、「人間関係はどうなの?さすがに自信があったほうがコミュニケーションは上手いでしょ?」ってご指摘をいただきましたんで、ちょっと考えてみたいと思います。
確かに「人間関係には自信が大事!」みたいな話はよく聞くところでして、ちょっと検索してみたら、
- 自信がなくて人間関係がうまくいかない
- 人間関係がうまくいかないのでさらに自信を無くす
みたいな負のサイクルを想定しているケースが多いみたい。確かに思わず納得しちゃいそうな話ですねぇ。
良好な人間関係に必要な5つの要素
といったところで参考になるのが、カリフォリニア大の1988年論文(1)。ズバリ、「自信がある人は人間関係も良いの?」って疑問について調べてくれた、ありがたい研究であります。
研究者たちは、まず良好なコミュニケーションに必要な要素を5つに分類しております。
- 他人と問題が起きたときにうまく対処できるか?
- 困った人をうまく感情的にサポートできるか?
- 包み隠さず相手に自分を表現できるか?
- 仲の良い相手でもちゃんと反対意見を言えるか?
- 新しい友だちを作ることができるか?
細かいとこでは異論もありましょうが、大筋で賛成できる内容ではないかと。
そのうえで参加者の自信レベルをチェックし、さらに全員に上の5つの要素を自己採点してもらったんですね。その結果は、
- 問題の対処力:0.2
- 感情サポート力:0.3
- 自己表現力:0.41
- 反対意見力:0.4
- 新しい友人力:0.61
みたいな感じ。つまり、自分に自信がある人たちは、自分のことをコミュニケーション力があり、人間関係も良好だと思ってるってことです。まぁ当然ですよね。
自信がある人は自分がコミュ力が高いと思い込んでるだけ
ところが、続いて研究者たちは、参加者の友人や親戚へインタビューを実行。「他人の目から見ても、自信がある人たちの人間関係は本当に良好なの?」をチェックしたんですね。
すると、数字はガラッと変わりまして、
- 問題の対処力:相関なし
- 感情サポート力:相関なし
- 自己表現力:相関なし
- 反対意見力:相関なし
- 新しい友人力:0.38
なんと、1〜4番までは統計的には関係が出ませんでした。要するに、
- 自分に自信がある人は、自分では「俺はコミュ力で人間関係もバツグン!」だと思い込んでいる
- ただし他人の目から見ると、別にコミュ力があるわけでも人間関係が良いわけでもない
- 唯一、自信がある人がうまいのは、新しい友人を作る能力だけ
って結果ですね。自信がある人たちは、実際はコミュ力が高いわけではないのに、押しが強いせいで友だちの量だけは増えていくわけであります。
また、2003年のバウマイスター論文でも「自信が高い人は長期的には嫌われやすい」って結果が出てまして、決して人間関係がうまくいくわけじゃなさそう。逆に言えば、自信がなかろうが良好な人間関係は十分に構築可能かと思われます。
じゃあ「自信がない人はどうすればいいの?」って話ですが、もっとも大切な要素は自信ではなくて「時間」であります。そのあたりは「科学的に正しい友だちの作り方とは?」 に書いてますんで、あわせてご参照いただければ幸いです。
いずれにせよ、「自信がないから友だちができない」と悩むのは時間のムダ。気に入った相手がいるならば、できるだけ一緒の時間を過ごすことに専念したほうが生産的かと思います。どうぞよしなに。