筋トレはどこまでメンタルの改善に役立ってくれるのか?
https://yuchrszk.blogspot.com/2016/05/blog-post_48.html?m=0
エクササイズはメンタルに効く!って話を何度か書いてますが、どれも有酸素運動に関するデータばっかりで、筋トレの研究は少ないのが難点であります。
ただし、ある程度は「筋トレでメンタルが向上する!」ってデータはありますんで、そのへんをまとめようかなーと思ったら、すでに2010年に良いレビュー論文(1)が出ておりました。
これはジョージア大学の論文で、過去に行われた「筋トレとメンタル向上」に関するデータを調べたもの。大量の論文をチェックしてくれてるんで、大まかな傾向がつかみやすくなっております。
というわけで、論文のポイントをざっくり見てみましょう。
筋トレとメンタル&脳機能の総合的な評価
まずは筋トレとメンタルに関する全体的な評価から。
- 基本的にはまだ質の高いリサーチが少ないので、「筋トレがメンタルに効く!」とは断言できない。
- ただし、いくつかの研究では「筋トレでそれなりに不安が減る!」との結果が出ている。その効果は、もともとメンタルが健康な人ほど大きい。
- 逆にガチの不安障害の人には、筋トレのメンタル改善効果は少ないか、ほとんど現れない。
- 筋トレは、メンタルからくる慢性痛の苦しさを100点満点で6〜10ポイントほど下げる。さほどの効果じゃないですが、慢性的な腰痛に悩んでいる人は体が固まりがちなので、積極的に筋トレはしておいたほうがいいとのこと。
- 筋トレをした高齢者の認知機能が上がったとのデータは多い。特に記憶力の改善効果が高く、筋トレと有酸素運動を組み合わせると、さらに脳力はアップする。
- ただし、筋トレと認知機能のデータは高齢者のものが多いので、若者にも同じような効果が出るかは不明。
- どんなタイプのエクササイズでも鬱病の改善に役立つ。これは筋トレも同じ。筋トレだけを行った場合でも、鬱病にはハッキリした効果がある。
- 筋トレの効果が出やすいのは、若くて身体的に健康な人が鬱病にかかった場合。高齢者の鬱病などには、筋トレの効果は小さくなってしまう可能性が高い。
- どんなエクササイズでも慢性疲労に効く。もちろん筋トレだけでも大きく慢性疲労を減らすことができる。
- 筋トレには自尊心をアップさせる効果もある。これは、きつい筋トレをこなしたことにより、自分の身体への信頼感が高まったのが原因かもしれない。
というわけで、全体的に見ると筋トレは不安や鬱、慢性疲労の改善などに役立ちそう。ただしガチの不安障害(通院している方など)には、ほとんど効果がみられなさそうであります。
筋トレがメンタルに効く理由はいろいろあるでしょうが、テストステロンなどのホルモンの増加や、神経系への適度なストレスで脳がタフになるのが大きそう。レジリエンスを鍛えるために筋トレをするのもありじゃないでしょうか。
メンタルに効く筋トレ法
この論文には、メンタルに効かせやすい筋トレの方法もとりあげられております。こちらもざっくりしたガイドラインを。
- 負荷が高いハードな筋トレ(1RMの80%ぐらい)よりも、マイルドな筋トレ(1RMの50〜60%ぐらい)のほうがメンタルは改善しやすい。1RMの意味がわからない方は、「タンパ大学式筋肉トレーニング」をどうぞ。
- 筋トレの初心者は、週に2〜3日のペースで。上記の重さで全身の筋肉を8〜12回ずつ鍛える。12回を超えてできるようになったら、2〜10%ずつ重さを増やしていく。
- 筋トレ中級者は週に3〜4日のペース、上級者は週に4〜5日のペースで行う。
まあ「マイルドな筋トレのほうがいい」とは言っても、その差はわずかなものなんで、普通に自分が好きなメニューでやっても全然かまいません。自分にとって長く続けられるペースを保つほうが大事。
まとめ
そんなわけでいろいろ見たところ、筋トレが以下の効果を持っているのは確かな感じ。
- 不安感の減少
- 慢性痛の緩和
- 認知機能の改善
- 鬱症状の緩和
- 慢性疲労の改善
- 自尊心の向上
なんか温泉の効能書きみたいになりましたけども(笑)、メンタルヘルスのために筋トレをやるのは十分にありってことで。