万病の元?「リーキーガット」について知っておきたい知識をすべてまとめてみたぞ
当ブログには、よく「リーキーガット」って言葉が出てきます。腸にダメージが起きた症状を指す言葉で、多くの免疫系や消化不良の原因だと考えられております。
海外ではすでに大きなマーケットになってまして、リーキーガット対策用のサプリがいろいろ出てたり。当ブログでも以前に軽く紹介したことがあったんですが、ここ数年で研究も深まってきましたんで、現時点で「どこまでリーキーガットは深刻な問題なの?」ってところをまとめておきましょう。
リーキーガットとはなんぞや?
リーキーガットをざっくり言えば、腸の内側に傷がついた状態のこと。ご存じのとおり、ヒトの腸は血管に送り込む物質をコントロールする働きをしてるんですが、この機能がぶっ壊れちゃうわけですね。
そのため、いったんリーキーガットを起こすと、体に良くない物質がガンガンと体内に入っていくことに(2)。日本語では「腸管壁浸漏症候群」と呼ばれてまして、文字どおり腸の壁が漏れちゃってる状態ですな。
血管に入ったあらゆる消化不良や免疫系の病気を引き起こすと言われてまして、よく言われているのは、
- 炎症性腸疾患(IBD)
- クローン病
- セリアック病
- 多発性硬化症
- ぜん息
といったあたり(3)。いずれも免疫システムが自分を攻撃して起きる病気で、ハッキリした治療法がない難病ばかりですね。
さらに、もうちょい軽い症状をならべると、
- お腹の不具合
- 消化不良
- フードアレルギー
- 花粉症やハウスダストアレルギー
みたいなところ。基本的には消化器とアレルギー系の不調がメインですね。
ただし、現時点ではまだ「理論的にはそうじゃないかな〜?」ぐらいのレベルで、ハッキリと因果関係が証明されたわけでもないのでご注意を。また、一部の専門家のあいだでは「リーキーガットが原因で病気になるんじゃなくて、病気の症状がリーキーガットなのかもよ?」との説もありまして、まだまだ決着がついてない感じであります。
とはいえ、リーキーガットが起きると体内の炎症が増すのは間違いなく、アンチエイジングを志す者にとっては対策が欠かせない要素ではないかと。
リーキーガットはなぜ起こるのか?
正直、リーキーガットが起きる原因については誰もハッキリわかっておりません。いまのところ大きい要素と言われているのは、
- 遺伝:生まれつきアレルギー体質な人は、リーキーガットを起こす可能性が大。
- ライフスタイル:ストレス、不健康な食事、アルコール、非ステロイド性抗炎症薬、抗生物質など。
といったあたり。つまり、一般的に「体に悪い!」と思われてることは、すべてリーキーガットの原因になり得るわけですね。うーん、恐ろしや。
といっても、これだと範囲が広すぎてとっつきにくいので、もうちょいくわしい原因を紹介しときます。
- ゾヌリン:ゾヌリンは、小麦にふくまれるグルテンで分泌されるタンパク質の一種。いくつかの実験(4)で、腸に細かい穴を開ける可能性が言われております。そのおかげで「グルテンフリーダイエットで健康に!」みたいな話も出てくるわけですが、いまんとこ詳しいメカニズムはわかっていないうえに、生まれつきグルテンに弱くなければ問題ないんじゃない?ってデータもあったり。
いちおう、現時点ではリーキーガットを起こす有力候補のひとつながら、まだまだ謎が多いですよーってことで。
- 炎症メディエーター:炎症メディエーターは、炎症を起こす原因になる物質。その種類にはいろいろありますが、リーキーガットと関連がありそうなのは「TNF」と「インターロイキン13」 の2つ(5)。どちらも腸にできた穴を広げる働きが確認されております。
- 腸内毒素症:腸内毒素症は、腸内の細菌たちのバランスが崩れたときに出てくる症状。これまた腸内に穴を開けることがわかっております(6) 。
正直、リーキーガットの検査はオススメできない
なんせリーキーガットは新しい考え方なんで、なかなかチェックしづらいのが難点。というか、そもそも「リーキーガット」が医学界の専門用語じゃないので、病院で「リーキーガットだと思うんですが…」といっても通じない可能性も大きいかも。
リーキーガットを調べるテストとしては、LAMA(マンニトール/ラクツロース比テスト)がよく使われております(7)。ざっくりいうと、
- ラクツロースはサイズが大きく、健康な腸だと通り抜けられない合成糖の一種。これを腸に送り込んで、腸壁を通過するかどうかをチェックする。
- マンニトールは、ラクツロースの3分の1ぐらいのサイズ。腸壁の表面の状態をチェックできる。
みたいな感じ。 ただし、データをみてるとどうにも信頼性が低いので、わたしはオススメしません。ネットを探すと、日本でもLAMAをやってくれる機関が見つかるんですが、値段も高いんで止めといたほうがよいかと思います。
というわけで、いまはまだ信頼できるリーキーガットのチェック法はなし。ネットだと「尿の色でわかる!」みたいな話も広まってますけど、うのみにしないほうがよさげです。
リーキーガットはどう対策する
自分がリーキーガットかどうかをハッキリ知る方法がないので、いまのところは効きそうなものをすべて試すのがベストであります。具体的には、
- グルテンフリーにしてみる:とりあえず小麦系の食品を止めてみる方法。グルテンに弱い人であれば効果は絶大であります。ただし、上にも書いたとおりグルテンに弱い人の数は少ないんで、グルテンフリーダイエットが効くケースはそんなに多くなかったりします。
- ジャンクフードは厳禁:とりあえず、これは基本中の基本。脂肪のとりすぎと栄養不足は、リーキーガットをもたらす大きな要素であります。
- 野菜を増やす:これもまだ検証段階ですが、とくにブロッコリーのようなアブラナ科の野菜は毎日食べておくとよさげ。あとはサツマイモのようにプレバイオティクスが豊富な野菜も吉。
- サプリメントの投下:リーキーガットに効きそうなサプリについては「『リーキーガット』に効くサプリを、効果が高い順に5つ並べてみた」にまとめてあります。また、最近ではグルタミンもリーキーガット対策に良い成績を出してるんで(8)、試してみて損はなさそう。もちろん、サプリに期待しすぎるのは厳禁ですが…。
ぐらいでしょうか。とりあえずすべて実践してみて、「なんかお腹の調子がよくなったなー」と思えたら成功であります。まぁ腸に良いことを片っ端からやってくしかないですね。
まとめ
そんなわけで、現時点でリーキーガットについてわかってることをまとめてみました。まとめてみると、
- いまんとこリーキーガットの研究はフワッとしている
- リーキーガットが免疫系の病気を引き起こしているとは言い切れない
- ただしリーキーガットが体に悪いのは間違いない
- リーキーガットのテストはどれも当てにならない
- 健康的な生活はすべて「リーキーガット対策」になる
ってところです。まだまだ未知の世界ではありますが、とにかく気に留めておくとよいかと思います。どうぞよしなに。