「やる気が出ない!」を激しく改善する「心理対比」入門
「心理対比」 でモチベーションがあがりまくる!
以前に「目標の達成率が2倍に高まる『WOOP』法」ってのを紹介したことがありました。「WOOP」は、とにかくモチベーションがあがると噂の心理テクであります。
ネタ元はエッティンゲン博士の「成功するには ポジティブ思考を捨てなさい」で、ポジティブシンキングなんてムダだ!って事実をデータベースで喝破するナイスな一冊であります。
ただ、本章で「ポジティブ思考の代替案」としうて紹介される「WOOP法」は、手続きが少しめんどうなのが難点。「もうちょいシンプルにならんかなー」と思って、博士の過去論文なんかをダラダラ読んでたら、「結局、心理対比さえ実践すればいいんじゃない?」って気分になりまして。
心理対比は「WOOP」のコアになる考え方で、エッティンゲン博士の論文も、だいたいこの効果をチェックしたものが多いんですね。たとえば、
みたいな感じ。ほかにも「禁煙に成功した」とか「お菓子の誘惑に強くなった」みたいなデータもあるんですが、いずれも「心理対比はすごい!」って話になんですよね。つまり、これさえ押さえておけば、モチベーション対策には十分なんじゃないか、と。
「心理対比」 を実践するための4ステップ
というわけで、多くのデータで使われてる心理対比の手順は、以下のような感じ。
▼ステップ1
いまの自分の目標を達成したら、どんなポジティブなことが起きるかをいくつか書き出す(または思い描く)。たとえば「5キロ痩せる!」だったら、
- 健康になる!
- 見た目が良くなる!
- モテる!
- 医療費が減る!
- 自慢できる!
- ブログのネタになる!
といったメリットを思いつくままに書き出すわけですな。
▼ステップ2
上であげたメリットのなかから、もっとも自分にとってポジティブなものを選ぶ。しばし頭のなかでメリットをイメージしてみて、一番ポジティブな気分になったものを選べばOK。このとき、選んだメリットについて細かくイメージすればするほど効果が高まるっぽい。
▼ステップ3
いまの自分の目標を達成するために、どんなトラブルが起きるかをいくつか書き出す(または思い描く)。たとえば「5キロ痩せる!」だったら、
- 飲み会で食べ過ぎる!
- ついお菓子を買っちゃう!
- 酒を飲み過ぎてしまう!
- エクササイズをサボってしまう!
- ストレスでやけ食いしてしまう!
といった障害を思いつくままに書き出すわけですな。
▼ステップ4
上であげたトラブルのなかから、もっとも自分にとってデメリットが大きいものを選ぶ。しばし頭のなかでトラブルをイメージしてみて、一番起きる可能性が高そうなものを選べばOK。このとき、選んだトラブルについて細かくイメージすればするほど効果が高まるっぽい。
以上が「心理対比」のすべてです。なんともシンプルですが、これだけで目標を達成する確率がグンと上がるというんだから不思議なもんですな。
なぜ「心理対比」 はそこまで効くのか?
いちおう「心理対比」が効く理由をざっくり説明しておきますと、まずは、
- 目標を達成したイメージを細かく思い描く
- 脳がイメージをダイレクトに受け取る
- 「あれ?目標を達成できるんじゃね?」と脳が思い込む
って流れが働くのが第一段階。脳はイメージと現実の区別が苦手なんで、具体的な想像については「現実的で達成できそうだ!」と勝手に思う傾向があるんですな。
が、この段階で終わると副作用が出まして、
- ポジティブな想像に脳が満足する
- 脳が「もういいや」と思い出す
- やる気が失せる
って方向に行ってしまうんですよ。基本的に脳は短期的な感情や目先の欲望に反応する働きのほうが強いんで、ダイエットのようは長期目標にはなかなか動き出してくれないんですね。
そこで、目標達成のプロセスで起こり得るトラブルを想定してあげると、
- 脳が短期的なトラブルを認識
- 「これらのトラブルを乗り越えればごほうびが手に入るんだな…」と脳が納得する
- やる気が出る!
みたいな方向に働き出すんですね。要するに、短期的な「トラブル」を設定することで、脳に目標へ向かうためのロードマップができあがるわけです。ヒトの脳ってのは、おもしろい反応をするもんですなぁ。
そんなわけで、「目標はあるけど、なんか達成できない!」って方は、まずは「心理対比」からお試しになってみてはいかがでしょ。これに慣れたら、さらに「WOOP」法に移っていけばよろしいかと。