マインドフルネス VS.認知行動療法 勝つのはどっちだ!みたいな実験
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マインドフルネス VS.認知行動療法
あいかわらずマインドフルネスが流行ってますが、いまいち質の高い実験が少ないのがいまの問題かと思います。とりあえず、現時点だとうつや不安に効くのはほぼ間違いないんだけど、いっぽうで集中力アップとか仕事の効率改善とか、ライフハックっぽい目的で使えるかはまだデータ不足な段階。まぁ瞑想はアテンショントレーニングにそっくりなんで、個人的には集中力にも効くだろうと思ってますが。
なんせ、ここ数年のマインドフルネス系の論文は、
- 比較グループ(マインドフルネス瞑想をやってないグループ)を作ってない
- 環境の問題(瞑想が効いたんじゃなくて、静かな環境でリラックスしたのが効いたんじゃない?)を考慮してない
- そもそも人によってマインドフルネスの定義がバラバラじゃない?(とくに自己啓発書の世界で顕著ですが)
みたいな問題をかかえてまして、どれを信頼していいのやらみたいな状況なんですな。ブームの弊害といいますか。
前置きが長くなりましたが、そんな状況で近ごろ良かったのが、マインドフルネスと腰痛について調べた論文(1)であります。
これはワシントン大学の研究で、慢性的な腰痛に悩む342名の男女を対象にしたもの。実験では、参加者を以下の3グループにわけたんですね。
- 認知行動療法で腰痛を治療する
- MBSRで腰痛を治療する
- 一般的な対処法で腰痛を治療する
MBSRってのは1970年代に生まれた治療法で、超ざっくり言うとマインドフルネスと認知行動療法を組み合わせたテクニックみたいなイメージ。くわしいところは「マインドフルネスストレス低減法」などをどうぞ。
どっちも有効ながら、やや認知行動療法が優勢!?
今回の実験で行われたMBSRは、を組み合わせて行ったらしい。ほぼ瞑想がメインですね。
いっぽうで認知行動療法のほうは、
- 腰痛の原因はメンタルだよ!という事実を教えこむ
- リラックスのスキルを学ぶ(腹式呼吸とか)
- 自分の「認知のゆがみ」に気づいて修正していく
みたいな感じ。とにかく「ストレスで腰痛が起きるんだ!」って事実を叩き込んだみたい。
で、54週間後の結果は、
- MBSRも認知行動療法も、一般的な腰痛対策より効果が高い(ただし偽陽性の可能性もあるかも)
- ただし、MBSRと認知行動療法に効果の差はほとんどなかった
- 不安や心配性の解消については認知行動療法のほうが効果は高かった
みたいな感じ。マインドフルネスもそれなりの結果は出てますが、「思ったよりパッとしないな〜」って印象ですかねぇ。
なんせMBSRのほうは瞑想にくわえて運動療法(ハタ・ヨーガ)まで行ってるのに、認知行動療法とほぼ効果が変わらないわけですからね。しかも、メンタルの悪化に対しては普通の認知行動療法のほうが上だったみたいですし。うーん。
もちろんひとつの実験では判断できないものの、 あとは好みの問題なのかもしれんですな。
- 理屈っぽい人は認知行動療法でビシバシ思考のゆがみを正す
- 直感的なアプローチがよければマインドフルネスに取り組む
みたいなイメージ。いずれにせよ、マインドフルネスも魔法のテクではないので、あまり過大な期待を持たずに気長に取り入れていくのがよさげ。