「失敗してもうた!」を成長の起爆剤にするセルフコンパッション法
近ごろ「メンタルヘルスのためにはセルフコンパッションが超大事!」ってデータが多く出てまして、個人的にも興味を持っていろいろ追いかけております。
ざっくりおさらいすると、セルフコンパッションは「自分への思いやり」のこと。ともすれば、多くの人は自分の失敗に対して「もっと頑張らなきゃダメだ!」とか「ダメなことをしてしまった!」といったふうな態度を取りがちなんだけど、これだとメンタルが悪化していくばかりで逆効果だというんですな。
そのかわり、「あんま自分に厳しくせずに優しくしてやろう!」って姿勢がセルフコンパッションで、たとえばダイエットなんかにも有効性が確認されてたりします。いずれにせよ、自分に対してゆるくやったほうが最終的にはいいわけですな。
で、あらたな実験(1)では、「セルフコンパッションで『後悔』を成長のこやしにする方法」について調べてあって、なかなかおもしろかったのでした。
これはカリフォルニア大学の研究で、まずは専用のサイトで「過去に激しく後悔した人」のサンプルを大量に集めたんですな。そのうえで、全員に「どのように後悔に立ち向かったか?」をたずねたところ、
- 自分への思いやりで過去の後悔を処理した人は、のちにその失敗をバネに能力をアップさせていた
- いっぽうでポジティブ思考を使って後悔を処理した人には、とくに何の進歩もみられなかった
て傾向が出てたんですな。たとえば誰かに失言をしちゃったような場合でも、自分に優しくした人は同じような発言をしない傾向が あったのに対し、ポジティブ思考の場合は懲りずに失敗をくり返すケースが多かったみたい。まぁ、ポジティブ思考は無反省につながることが多いんで、この結果にも納得といいますか。
で、その後、研究者はもうひとつの実験を行って、「後悔に対して正しくセルフコンパッションを使う方法」をチェックしたんですな。具体的には、参加者たちに「過去にしでかした失敗のなかで、もっとも後悔していることを思い出してください」とお願いしたうえで、以下のような指示を出したらしい。
後悔している自分に対して、別の自分が思いやりと理解を持って話しかけているところを想像してください。
さて、どんな言葉をかけてあげるでしょう? その言葉を紙に書きだしてください。
すると、ポジティブ思考を使った参加者にくらべて、セルフコンパッションのグループは、
- 自分を許せる気分が高まった
- 自分を改善するモチベーションがあがった
- セルフアクセプタンスのレベルがあがった
といった違いがハッキリ出たそうな。つまり、全体的に自分の欠点を受け入れる態度が身についたってことですね。ちなみにセルフコンパッションの世界では、「自分の友だちが同じような失敗をしていたら、どんな言葉をかけてあげるか?」を想像するトレーニングも有名でして、基本のやり方は同じですな。
そんなわけで、なにかをやらかしてしまったときは、ムダに自分を責めたり、逆にポジティブ思考で現実から目を背けたりせず、
- 「思いやりと理解がある別の自分」をイメージ
- 別の自分が言いそうなことを紙に書き出す
って手順をふむと吉。慣れたら頭のなかだけで処理してもいいですが、自己批判の傾向が強い人は、めんどうでも紙に書き出したほうが効果は得やすいかと思います。どうぞよしなに。