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脳と体の最適化に欠かせない「内受容」の鍛え方とは?

Body

 

自分の体を察知する能力が大事

ここ数年 「内的受容感覚(内受容)」に関する研究を見かけるケースが増えてきましてね。

 

 

内受容ってのは、プリンストン大学の定義(http://amzn.to/2uttytF)では「体全体のコンディションを感知する能力」のこと。いま自分の心臓がどう動いているか?体がどれだけ疲れているか?みたいな情報を、正確に推測できるスキルを指しております。

 



 

 

内受容は脳と体の最適化に必須

なんだかささいな能力のようですが、近年では「脳と体の最適化に必須なんじゃね?」と考えられてまして、

 

  • 認知の向上
  • 感情のコントロール
  • 集中力アップ
  • 判断力の向上

 

なんかに欠かせないスキルだと言われだしたんですね。当ブログでも、「内受容で共感力がアップした!」とか「内的受容がうまいと幸福でお金も儲かる!」といった話を取り上げてたりします。

 

 

一流アスリートほど内受容が発達している

カリフォルニア大の2012年論文(1)によれば、

 

内受容のシステムは、カラダの内側の情報を神経系に伝え、その結果、カラダの異常や現状がモニタリングされる。これは、認知のコントロールにとても重要な働きだ。(中略)実際、エリートのアスリートほど自分の体のシグナルに注意を払う能力が高く、特に体が引き起こすエラーを先読みする技術に長けていることは有名だ[Philippe & Seiler, 2005]。

 

とのこと。一流のアスリートほど体のサインを読むのがうまく、おかげで脳が体内のエネルギーを効率よく使えたり、手足のコントロールがうまくなったりするんだ、と。

 

 

その結果、アスリートのパフォーマンスが最適化されるのはもちろん、自分の行動がどんな結果をもたらすかも予想できるようになっていくらしい。「からだの声を聞きましょう!」とかいうとスピリチュアルっぽいですけど、あながち変な話でもないわけですな。

 

 

内受容をトレーニングするには? 

こうなると、まずは「内受容を鍛えるにはどうすりゃいいの?」ってところが気になりますが、まだ手軽な方法はよくわかってなかったりします。いまのところ大がかりな方法としては、

 

  • 心臓フィードバック:自分の心臓の音を強調してヘッドホンで聞く(1990年,2)
  • ニューロフィードバック:fMRIで自分の脳の活動を見てトレーニング(2010年,3)

 

のようなバイオフィードバック系の訓練が効くのはわかってます。そう考えると、心拍変動を鍛える「エムウェーブ」なんかもよさげな気がするものの、なんとも言えないところです。

 

 

では、もうちょい誰でもできそうな方法はないのかといえば、

 

  • 楽器を習う:プロミュージシャンは内受容が高いことがわかっている(2015年,4)
  • 運動をする:子供を対象にした実験では、3〜6METsの強度で体をよく動かすほど内受容が高かった(2015年,5)

 

といったあたりがトップツーかと思われます。いろいろ見てますと、いろんな感覚を同時に働かせるのがポイントのようなんで、パレオ的なスポーツなんかは良さそうな感じがしますね(あと「木のぼり」もいいかも)。今年はもっとトレイルランニングに出かけるかな…。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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