「グルテン過敏の原因は食物繊維だ!」説が爆誕して、さらに「グルテンフリー」業界が混迷してる件
グルテン過敏の真の原因とは?
グルテンフリーダイエットが日本でも広まり始めて久しいですけど、「本当に意味があるの?」って問題についてはまだ謎のままだったりします。そのへんのいきさつについては、「グルテンフリーダイエットって効果あるの?2016年8月バージョン」などをご覧ください。
ざっくり現時点のポイントを言うと、
- まだグルテンが本当に悪さをしてるかはわからない
- お腹の調子がいい人がグルテンフリーをする意味はなさそう
ってぐらいでして、要するに「本当にグルテンって悪いの?」という肝心なとこはサッパリわかってないんですな。
そんな状況下、こんどは「グルテン過敏の原因は食物繊維だ!」って説が爆誕(1)しまして、業界に激震が走っておりました(大げさ)。
「グルテン vs. 食物繊維」悪いのはどっちだ?
これはオスロ大学の実験で、59人の男女が対象。どういう人たちを集めたかと言うと、
- セリアック病ではない(=グルテンのせいで自己免疫疾患が起きない)
- しかし、グルテンフリー食を続けるとお腹の調子が良くなる
って感じです。自己免疫疾患まではないものの、グルテンを抜くとなぜか体調が良くなる人を選んだわけですね。
で、実験では参加者に3パターンの食事を提供しております。
- グルテンが入った固形食を食べる
- フルクタンが入った固形食を食べる
- 上のどちらも入ってない固形食を食べる
フルクタンってのは食物繊維の一種で、当ブログではおなじみのイヌリンやフラクトオリゴ糖なんかもそのひとつ。食品だとタマネギなんかにもよく入ってたりします。
ご承知のとおり食物繊維は激しく体に良い物質ですが、基本的に腸内環境が悪い人には害が出ちゃうこともあるんですよね。しかも、そのなかでもフルクタンは割と悪さをしがちなんですよ。なかなか難しいもんです。
フルクタンで腹に不快感が発生
参加者はそれぞれの食事を7日間ずつ食べまして、どんな変化が起きたかをチェックしたんですね。すると、
- 全員、グルテンを食べた場合は何の症状も起きなかった
- フルクタンを食べた場合は、プラシーボにくらべて15%ほど腸内にガスが発生した
って結果だったんだそうな。つまり、この結果だけ見るとグルテンはまったくの無罪で、実はフルクタンが悪さをしてた可能性も出てきたわけっすな。いよいよ混迷してまいりました。
この結果をもとに、研究チームは「結局、グルテンフリー食ってFODMAPなんじゃないの?」と推測しておられます。FODMAPってのは「発酵性のオリゴ糖、二糖類、単糖類、ポリオール」の略で、これらをふくむ食品をいったん停止する厳しい食事法のこと。くわしくは以下のエントリをどーぞ。
で、ここでのポイントは、グルテンフリー食を徹底すると、自然とFODMAPが少ない食事になっちゃうところです。グルテンフリーのパン、シリアル、パスタなどを選ぶと、同時にフルクタンの摂取量も減るんですよ。つまり、グルテンフリーでお腹の調子が良くなったのは、たんにフルクタンがカットされたからじゃないの?って説ですね。うーん、ありそう…。
まとめ
もっとも、これで「グルテンは完全に無罪!」ってことにはならんのですが、フルクタン悪玉説も十分に可能性はありそう。もし自分のお腹がフルクタンに弱いかどうかを確かめたいときは、
- ニンニク、スイカ、ヒヨコマメ、デーツのいずれかを食べてみる
- 数時間後に腸内にガスが発生したり、下痢の症状が起きたりしたらフルクタンに弱いのかも?
って感じでチェックしてみちゃいかがかと思います。その場合はグルテンに気をつけるよりも、FODMAPのほうに気を配ったほうが良いかもしれません。心当たりのある方はお試しあれ。