一段上の判断力を育てるかもしれない方法、それは「知的謙遜」
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いま、知的謙遜が凄い
ここ数年、 Googleとかが重要視してるのが「知的謙遜」ってパーソナリティであります。ざっくり言うと「自分の知性の限界をわかってる状態」 のことでして、「うぬぼれ」とか「傲慢」の対極にある概念だと思っていただければ。知的謙遜が高いと新しい経験にオープンになれるんで、自然と成長スピードが速くなると考えられてるんですな。
で、新しく出た論文(1)では、「知的謙遜は判断力も上げてくれる!」って結論になってていい感じです。
知的謙遜と判断力などの関係を調べた
これはデューク大学の研究で、3つの実験から構成されております。ざっくりどんなもんかと言いますと、実験1
「知的謙遜尺度」を使って参加者がどれだけ「自分の知識の限界を知っているか」を判定。そのうえで、他のパーソナリティ特性とくらべる(好奇心とか頑固さとか)。実験2
極論を述べているエッセイ(難民はすべて追い出すべきだ!みたいな)を呼んでもらい、参加者に書き手の性格を採点してもらう。実験3
健康に関する議論(デンタルフロスは役に立つか否か?みたいな)を聞いてもらい、どちらの側のほうがエビデンスにもとづいた話を展開していたかを判定してもらう。って感じです。知的謙遜の高低によって、パーソナリティや判断力にどんな違いが出るかをみたわけですね。念のため、この実験が定義する「知的謙遜」の内容を説明しとくと、
知的謙遜が強い人でも、もちろん固い信念を持つことはできる。しかそ、そのいっぽうで自分の間違えやすさやに気づいており、問題の大きさに関わらず、何を誤ったのかを知ろうとする意志を持っている。日常的な言葉で言えば、「広い心」に近いだろう。
といったところ。「知的謙遜」と「広い心」と表現するのはわかりやすいかもですねー
知的謙遜は忍耐と判断力を高める…かも
さて、以上の研究で何がわかったかと言いますと、知的謙遜が高い人ほど、- 忍耐力、好奇心、中立性が高い
- 自分と意見が異なる相手でも、簡単に断罪をしない
- エビデンスを精査するのがうまい
- 政治的な態度が急変しない
といった傾向があったそうな。自分の限界を知ってるぶんだけバイアスに左右されづらいので、簡単に相手をジャッジせず、ちゃんとした事実にもとづいた判断をくだせるわけっすな。
近年じゃ「忍耐力」が人生の満足度に欠かせない要素だってのもわかってきましたし、その意味では、「知的謙遜」ってのはかなり重要な要素なのかもしれませんねぇ。
間違いを恐れない心が重要
研究者いわく、間違いを怖れない態度には、それ自体に立派な価値がある。そして、この態度は意識して伸ばすことができると考えられる。
すべての人が知的謙遜を少しだけ伸ばせば、互いへのフラストレーションは減り、つまらないケンカもなくなるだろう。
とのこと。知的謙遜が平和をもたらすのだ!みたいな話でります。まぁそうかも。
ちなみに、ほかにもちょっと面白い知見としては、
政治や宗教に保守的な人ほど知的謙遜が低いかのようなステレオタイプがあるが、今回の調査ではそのような相関は見られなかった。
ってのも出てました。これはネットの政治的な議論を見てても納得できる話でして、右派だろうが左派だろうが、どっちにもエビデンスベースな人はいるし、逆に感情で他人をディスりまくる人もいるよなーとは思っておりました。あくまで印象論ですが、そこらへんの信念は、知的謙遜とは関係ないんでしょうな。
ってことで、ひとつうえの判断力とエビデンス精査力をお求めの方は、日ごろから「知的謙遜」を意識しとくといい感じです。具体的な鍛え方については、「「知的謙遜」のレベルを高めるには?」で軽く触れてますので、合わせてご参照ください。