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「運動しなくても済むクスリ」は作れるのか問題

 Drug

 

 運動しなくてもいいクスリはあり得るか

運動しなくても済むクスリはないかなー」とか思ったことがある人は多いでしょうが、そんなものは存在してないのが現状。いまんとこは「メトホルミン」がもっとも有力候補なんですけど、副作用の可能性もあるのが難しいところです。

 

 

が、そんな状況下「飲むだけでエクササイズと同じ効果が得られるクスリができるかも!」って論文(1)が出てきてビビりました。

 

 

 

筋肉の発達をジャマする物質をブロック

これはオーガスタ大学の研究で、4種類のマウスを使った実験になっております。具体的には、

 

  1. 痩せてるマウス
  2. 太ってるマウス

 

の2種類を用意したうえで、それぞれに、

 

  1. ミオスタチンが出ない
  2. ミオスタチンが出る

 

って2パターンの処置を施したんですな。ミオスタチンってのはタンパク質の一種で、昔から筋肉の成長をジャマすることで有名な物質であります。

 

 

ヒトを対象にした研究でも、体内のミオスタチンが多い人ほど筋肉が少なく、逆にミオスタチンが少ない人ほど筋肉が増えることがわかってるんですね。ついでに、肥満の人もミオスタチンの量が多い傾向がありまして、かねてから「こいつをカットできれば凄いことになるんじゃない?」と言われてきたんですよ。

 

 

運動をしてないのに肥満の悪影響が消えた

で、上記のマウスをしばらく観察したところ、予想どおりの結果が出まして、

 

  • ミオスタチンが出ないマウスは、肥満体でも筋肉が増えまくった
  • さらに、ミオスタチンが出ないマウスは、肥満でも心疾患やメタボの数値が悪化しなかった

 

だったそうな。ミオスタチンをカットしたら、何もしてないのに肥満のダメージが消えちゃったわけですね。

 

 

研究者いわく、

 

このリサーチの究極的なゴールは、「エクササイズの効果を再現できるクスリ」を作り、肥満の解決に役立てることだ。

 

ミオスタチンが出ないマウスは、肥満体でも筋肉が発達した。すると、肥満にともなうあらゆる悪影響が消えたようだ。

 

より正確なリサーチが必要だが、現時点ではミオスタチンこそが、肥満の害に立ち向かうための確実な経路だ。

 

とのこと。ミオスタチンを減らすクスリが開発できれば、誰でも楽に運動と同じ効果が得られるんじゃないか、と。

 

 

現時点でミオスタチンを減らす可能性があるものは?

もちろん、いまのところミオスタチンをカットする夢の薬は存在してませんが、いちおういくつかのサプリでまぁまぁの成果が出てたりはします。

 

 

具体的には、

 

  • ビタミンD3:2011年の実験(2)で、筋肉組織のミオスタチンが下がる現象が確認されている。

 

  • フィッシュオイル:ワシントン大学の2011年実験(3)で、1日4gのフィッシュオイルを8週間ほど飲み続けてもらったところ、被験者のミオスタチンが低下し、筋肉のタンパク質合成がスピードアップした。

 

  • クレアチン:アラーク大学の2010年実験(4)で、クレアチンを8週間ほど飲んだ被験者はミオスタチンが17%低下した。

 

 って感じです。これを見ると、フィッシュオイルとクレアチンにはそこそこ希望があって、一歩遅れてビタミンD3が続く印象ですかね。ただしフィッシュオイルは酸化が怖いんで、現時点ではクレアチンをベースにビタミンD3も併用しとくのがいいのかなー、というとこですかね。

  

 

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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