米軍で使われたメンタルトレーニング「ソーシャルフィットネス」とは?
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シカゴ大発の「孤独改善トレーニング」
近ごろは「孤独は体に悪い!タバコぐらい悪い!」って考え方が普通になりまして、いろいろと対策も講じられているわけです。しかも、いったん孤独にハマると悪循環がどんどん深まっていく傾向もありまして、気をつけておきたいところ。といったところで参考になりそうなのが、「孤独を改善するトレーニングを作ったよ!」って論文(1)。著者は「孤独の科学」で有名なジョン・カシオポ博士で、 シカゴ大の有名な心理学者ですね。
ソーシャルフィットネスを鍛えるのが大事
これは48人の軍人を対象にした実験で、博士が考案した50のメンタルエクササイズの効果を確認したもの。なぜ軍人が選ばれたかというと、イランやアフガンに従軍した兵士の多くが孤独に悩まされ、ときに自殺まで進むケースが増えてきたから。従軍の体験が社会的な孤立を生んで、メンタルがどん底に落ち込みやすくなるらしいんですな。博士が考案したトレーニングは、「誰かに何かお願いしてみる」といったシンプルなものから、「チームに問題の解決策を提案してみる」のような複雑なものまで様々。基本的には「何らかのアクションをする」って発想がベースになってて、行動活性化療法に近いイメージですね。この手法を博士は「ソーシャルフィットネス」と呼んでいて、おもにレジリエンスを育むために作ったらしい。
5日のトレーニングで軍人の孤独が癒えた
実験期間は5日で、参加者のうち半分が1日2時間ずつのトレーニングを実行。その結果、トレーニングを受けたグループは、- 共感力、広い視野で物事をとらえる能力などが少し向上
- 孤独感が大きく減少し、幸福感が大きく向上
といった効果がハッキリ出たんだそうな。5日間の成果としてはなかなかよい成績ではないかと。
ソーシャルフィットネストレーニングの具体例
では、具体的にどんなトレーニングが行われたかというと、- ソーシャルフィットネスは学習できるという事実を学ぶ:大前提として、まず「ソーシャルフィットネス」は筋トレと同じようなものなんで、鍛えれば鍛えるほど成長していくって事実を教え込む。いわゆる「しなやかマインドセット」のことですな。「俺が孤独なのは生まれつきだ!」とか思ってたら、話が先に進みませんからねぇ。
- アンプラグタイムを作る:毎日、1日のうちのどこかでPC、スマホ、テレビを使わない時間を作り、誰かと交流することを目標にする。これはどんなに短時間の交流でもOKで、宅配便のお兄さんに「ご苦労さんです」と声をかけるぐらいでもアリ。博士いわく、「孤独感が高まった人は電子デバイスに費やす時間が増えていく傾向があるので、意識的にスクリーンから身を離す必要がある」とのこと。
- 親切なことをする:1日に他人の役に立つことをするか、他人を手伝う。最近も「他人のためになることをやると自分に自信がつく」って話がありましたが、親切は軍人も孤独にも効くわけですな。
- 共同作業をする:毎日、他人と何かひとつの作業をするように心がける。たとえば、普段は食事の支度と掃除を分担しているならば、たまには食事を一緒に作ってみるとか。そのぶん効率は落ちるものの、人生の満足度が高まるだけメリットは大きい。
- シェアする:他人が予期しないような自分のアイデア、または他人と相いれない意見をシェアするように心がける。たいていの人が他人とコミュニケーションを取るときは、つい共通点だけに注目して話を進めがち。しかし、そのままだと意思決定やレジリエンスは低下するので、あえて広い知識や経験などをシェアするのが大事、とのこと。
- あいさつする:友人でも知り合いでもいいので、とにかく単に「こんちちわ」と言ってみる。これだけでも、個人のソーシャルフィットネスが鍛えられることがわかっている。
みたいな感じです。なんだか昔ながらの道徳訓みたいですが、孤独を癒やすには結局「親切」とか「シェア」を地道に重ねていくしかないんでしょうな。そんなわけで、やはり他人への親切は最強!ってのが結論ってことで。