心理学的に「かっこいいファッションだ!」と思われるには何に気をつければいいのか?問題
「かっちょいいファッションのポイントはこれだ!」みたいな実験(1)がおもしろかったんでメモ。ファッションの心理学的な研究ってまだ少ないんで、ちょっと貴重な内容になっております。
30種類の色合いの組み合わせから「一番かっこいい」と思われるものを選んでもらった
これはノースカロライナ大学の実験で、239人の男女を対象にしたもの(平均年齢は35歳)。どんな実験かと言いますと、
- 男女それぞれに30種類の違う色を組み合わせたファッションを見せる
- それぞれの色の組み合わせについて、「どれが最もオシャレに見えるか?」を採点してもらう
みたいな感じ。とりあえず今回は、色彩の組み合わせによってオシャレ度がどれぐらい変化するかをみたらしい。具体的にどんな問題意識があったかと言いますと、
ファッションの世界においては、2つの両極端なスタイルがしばしば人気になる。
ある層においては、もっともファッショナブルな服とは、完全に統一されたスタイルを意味している。この立場では、すべてを同じ色でまとめるのがファッションのポイントになる。
いっぽうで、ファッションとは「注目を集めるのが大事」という立場もある。この見方からすれば、限界まで統一感のない色合いを着た方が良いことになる。いわゆる「ポップ」と呼ばれるようなファッションだ。
だそうです。世の中にはモード系と原宿系みたいに両極のファッションがありますが、果たして一般的な感覚でベストなのはどんな組み合わせなのか?ってのを調べたわけっすね。
どんな色合いがダサいのか?
具体的に使われたカラーパレットと「オシャレだと思われた色の組み合わせ」は、以下のようになっております。
では、このグラフから何がわかるかと言いますと、
- 色合いが同じすぎても違いすぎてもダサくなる!
ってことですね。たとえば、灰色がかった緑(Muted green)に灰色を合わせると「オシャレ!」と評価されるのに対し、黒にダークグレイの組み合わせは評価が下がり、ライムグリーンとピンクの組み合わせも同じようにダサいと思われる感じ。「なにごともほどほどが良い」という定番のアドバイスを地で行く結果っすね。
シンプルと複雑のバランスが最も大事
研究者いわく、
服の色合いを合わせれば、間違いなくファッショナブルに見える、しかし、それには上限がある。
いったん全ての色彩が統一されすぎてしまうか、または身につけたアイテムの色がまったく同じだった場合、ファッショナブルさは急激に低下して行く。
とのこと。こういった現象が起きる理由として、この論文では「ゴルディロックスの原理」を引き合いに出しております。
ゴルディロックスの原理は、あらゆる場面に見られる現象だ。生まれたての幼児ですら、シンプルすぎる色合いは嫌うし、逆に複雑すぎる色合いも避ける傾向がある。最適な心理状態は、シンプルと複雑のバランスのほどよいバランスによって成り立つのだ。
人間ってのは、シンプルすぎるものも複雑すぎるものも避ける傾向が生まれつきあるんだ、と。まぁシンプルすぎるものに注意のリソースを割り当てる意味はないし、複雑すぎれば脳の負荷が高すぎて疲れちゃいますもんね。これも進化のプロセスで備わった適応なのかもですな。
「じゃあ何でモード系や原宿系はあんなに極端なんだ?」って疑問がわくわけですが、
- モード系=パっと見は何もなさそうな構造にも意味を見出せる脳機能の高さをアピールしている
- 原宿系=複雑な情報にも耐えられる脳機能の高さをアピールしている
ってことなのかもしれません。ただの思いつきですが(笑)
私は毎日の服装を考えるのが面倒なせいで、近ごろは黒一色のファッションなんですけど、今回の結果を見る限りはもうちょい複雑さを導入した方がいいのかなーと思いましたね。これは「色合い」だけを調べた実絵ですけど、デザインでも似たようなことが言えそうな気はしますな。