オーガニックで育った牛からできた乳製品はどこまで体にいいのか?問題
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オーガニックの乳製品ってどうなの?
ちょっと前に「オーガニック野菜が健康にいい!は嘘」みたいな話を書きました。ざっくり言うと「オーガニック野菜のほうが栄養があって安全だって証拠はどこにもないよ〜」という内容です。実は、その後も、スタンフォード大から「オーガニックが普通の野菜より体にいい証拠はない」っていう最大級のメタ分析(1)が出てまして、いよいよオーガニック派には辛い状況になってる昨今です。
そんな情勢のなか、今度は「オーガニックの乳製品はどうよ?」ってところを調べたデータ(2)が出てておもしろいです。一般的に、オーガニックの乳製品は「ビタミンが豊富!」とか「良質な脂肪が多い!」とか言われるんですけど、そのへんどうよ?って問題ですね。
オーガニックも普通の牛乳も栄養価はほぼ同じ
これはオレゴン州立大学の実験で、全米から300の牧場の協力を集めて、それぞれの牛から取れた乳製品をチェックしたもの。全体の割合は、- オーガニック系の牧場が192
- 普通の牧場が100
って感じ。約1億円の巨費を投じた大プロジェクトでして、5年をかけてすべての牧場を調べ上げたうえで、牛の健康状態、病気の発症率、衛生状態したんだそうな。
そのうえで、すべての牧場から取られた乳製品をチェックしたところ、こんな結果が出ております。
- 基本的にオーガニックも普通の牛乳も栄養価はほとんど同じ!
ってことで、別にオーガニックだからビタミンが多いってこともなかったらしい。ここらへんはオーガニック野菜と同じっすね。
最終的な健康効果は何も変わらないっぽい
さらに、オーガニックミルクに不利な話としては、- オーガニックで育った牛は、普通の牛にくらべて43%ほど牛乳を出す量が少ない
- ついでに、抗生物質を使わないせいで、普通の牧場では根絶されたバクテリアが残っている
なんて結果も出てたりします。オーガニック牛は、栄養価が変わらないわりに生産量も良くないんだ、と。
研究者いわく、
牛がどんなに違う育てられ方をしても、オーガニックファームでどんなに手厚く扱われても、最終的なビタミン量は、普通の牧場で育った牛の乳製品と変わらなかった。
ってことで、なかなか切ない話になってきましたね。
オーガニックのほうがオメガ3が多いが……
もっとも、いちおうオーガニック牛に有利な話も出てまして、- オーガニックな牛乳のほうが、体に良いオメガ3脂肪酸の量が多い……ときもある。
って感じ。後半がおよび腰になってるのは、オーガニック牛のオメガ3が増えるのは、旬の季節の牧草を食べたときだけだからです。
保存しといた牧草を食べた場合は、あんまりエサの栄養価が高くないせいで、オメガ3の量は大したことがなくなっちゃうらしい。これも切ないですなぁ。
偽オーガニックが多いので判断が難しい
ただし、この研究だけでは、必ずしも「オーガニックは無意味!」って結論にはならないのが大事なポイントであります。というのも、研究者はこんな風に言ってるんですよ。10個のオーガニックファームのうち7件は、以前は普通の牧場として運営されていた施設を使っている。この事実が、オーガニックと普通の牛に差が出ない原因になっているのかもしれない。
つまり、オーガニックを宣伝していても、その実態は普通の牧場とほぼ変わらないんじゃないか、と。
多くのオーガニックファームは、普通の牧場と似たようなオペレーションで牛乳を作り、病気の牛を世話している。
こういったファームが多いのは、アメリカ農務省から「USDA オーガニック」のお墨付きが欲しいからだそうな。最低限の基準だけ満たしてオーガニックの認証だけ取ったら、あとは普通の牧場と変わらない経営をしてるわけっすな。
そんなわけで、この研究だけだと「オーガニックがダメ」とは言えない次第。ただし、過去にも「オーガニックの食肉はそこまで栄養価が高くない」ってデータもあるんで、いずれにせよそこまで期待しないほうがいいんでしょうなぁ。