今週の小ネタ:メタルのストレス解消効果、「温かさ」と「有能さ」、酒と男女の幸福
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
激しいメタル音楽がストレスに効く!かも
まずはクイーンズランド大学の研究(1)で、「メタルみたいな激しい音楽って、逆に怒りをしずめてくれるんじゃない?」って結論になってておもしろいです。
これは39人のメタルファンを対象にした実験で、全体を2つにわけたんですな。
- 10分だけ好きなメタルを聴く
- 10分だけボーッとする
で、そのうえで心理テストや心拍数チェック、脳波検査などを行ったところ、
- メタルを聴いた参加者は怒りが減り、落ち着いた気持ちになった!
って変化が出たんですな。というと「好きな音楽を聞いたからでは?」って気もするわけですが、研究チームは「メタルが自分の怒りを客観視させてくれるからじゃない?」と考えております。メタルによって、自分の怒りの感情と距離を取れるようになれるわけですな。
これがどこまで一般化できるのかはよくわからんのですが、メタルが「リアプレイザル」の役割を果たしてる可能性もあるのかもしれませんねぇ。
人は自分の『考え方』によって他人の見た目を異なって判断するぞ
人間は「顔」で他人の性格を判断しがち!ってのはよく聞く話ですが、ニューヨーク大学の研究(2)では「顔を見る側の”考え方”によって、こちらの印象が変わる!」って傾向が出てて面白いです。
これは920人を対象にした実験で、研究チームが作った「いろんな顔のCG」を見てもらったんですよ。そのうえで「社交的に見えますか?」や「知性的に見えますか?」といった質問を重ねていったところ、”ある考え方”を持ってるかどうかで、判断が大きく変わったというんですな。
それが何かと言いますと、
- ひとりの人間が「有能さ」と「温かみ」を同時に持てると思ってるかどうか
だったんですよ。具体的には以下の画像のようになっております。
この画像の上段が「有能さと温かみは同時に成立する」と考えている人で、下段が「有能さと温かみは同時には成り立たない」と考えている人たちになっております。ご覧のとおり、「同時に成立する派」が判断した有能そうな顔とフレンドリーな顔もほぼ同じなのに対して、「成立しない派」は厳し目の顔立ちを「有能そう」と判断してますねー。
ちなみに、この「有能さ」と「温かみ」ってのは、「カリスマ性が高そうに見える人」に必須な2大条件だったりもします。過去のカリスマ研究を見てると、だいたい「有能さと温かみを兼ね備えた人ほど凄いと思われやすい」って結果が出てるんですよ。
ここらへんのデータなんかを合わせても、「有能さ」と「温かみ」は他人を判断するための大きな材料になってるんでしょうなぁ。
一緒に酒を飲むカップルは結婚生活の満足度が超高い!
お酒って言われるほど健康によくないのでは?といった議論も多い昨今ですが、いっぽうで適度なアルコールがストレス解消にいいのは確かであります。事実、過去には「週末にパブに行く男は長生き」なんて研究もありまして、コミュニケーションの潤滑油としての働きはやはり否定しづらいところです。
さらに、近ごろ出た論文(3)では、「一緒に酒を飲むカップルは結婚生活の満足度が超高い!」なんて結果も出てたりするんですな。
これはミシガン大学の研究で、4864人の成人を30年にわたって追いかけたHRSっていう有名なデータセットを使っております。おおまかに言うと、
- 週ごとに参加者の飲酒量と飲み方をチェック
- そのデータを結婚の質とくらべる
って感じで調査を行ったところ、
- とにかく一緒に酒を飲むと幸福度が高くなる傾向がある(酒の量は関係ない)
- この傾向は、とにかく妻の方が相関が大きい
- ついでに、幸福なカップルほど健康状態もいい
みたいな感じです。もちろん、もとから仲がいいカップルほど一緒に酒を飲むって可能性もありますんで、必ずしも酒で幸福度が上がる!とは言いづらいところではありますが。