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肉と卵で早死にリスクが増大?恐怖の物質「TMAO」に立ち向かうにはどうすればいいいのか?問題

Meat2

 

「肉は体にいいのか?」って議論は昔からあって、当ブログでも以下のような話を書いております。

 

 

すごーくざっくり言っちゃうと、

 

  • 確かに多くの研究では、肉を多く食べる人は心疾患で死に安い傾向が見られる
  • ただし肉は栄養価が高いんで、種類と料理法に注意すれば最高の食材でしょう

 

みたいな話です。肉は重要な食材ながら取り扱いが注意な側面も大きいんですよねー。

 

 

で、「肉がヤバい!」と考えられる原因はいくつかあるんだけど、ここんとこよく言われるのが「TMAO」であります。

 

 

TMAOは「トリメチルアミン-N-オキシド 」の略で、お肉や卵にふくまれるカルニチンやコリンから作られる物質。動脈をカッチカチにする作用が高いもんで、体内にTMAOが多い人ほど、

 

  • 動脈硬化
  • 血栓
  • 腎臓病
  • 心臓病

 

にかかって寿命がちぢみやすい傾向があるんですよ。なんせ心臓病は日本人の死因の第2位なんで、対策しといたほうがよさげであります。

 

 

というと、「やっぱ肉は怖い!卵ヤバい!」みたいな話になりがちなんですけど、そうはいかないのが人体のおもしろさだったりします。というのもここ数十年のデータを見てますと、

 

  • 実はカルニチンやコリンをとりまくってもなんの問題も起きない人が結構いる
  • 魚は肉類よりもTMAOを作り出す働きが高い(なんと牛肉の50倍ぐらい)のに、逆に心疾患のリスクを下げる

 

といった問題もありまして、いちがいに「肉と卵を減らせばOK!」ってわけでもないんですな。ミステリーですねぇ。

 

 

じゃあ、いったいなにがTMAOのダメージを防いでいるの?って話になるわけですが、クリーブランド・クリニックのレビュー論文(1)は、そこんところをチェックしてくれてて有用でした。

 

 

まずは研究チームが作ってくれた「TMAOはなぜ生まれるの?」の図解からどうぞ。

 

JCI94601

 

ちょっと難しげな印象がありますが、要するになにがポイントかと言いますと、

 

  • TMAOの産生には腸内細菌が大きく関わっている!

 

ってことです。食事からとったカルニチンやコリンがTMAOに変換されるプロセスには腸内細菌が深く関わってるんで、お腹のなかを整えれば肉や卵も怖くない!……かもしれない感じなんですな。またここでも腸内細菌が出てきましたなぁ…。

 

 

ちなみに、そう考えると「なんで魚だと問題が出ないのか?」って疑問にもある程度の仮説が立てられまして、「魚介類のタウリンが腸内細菌にいいからでは?」という気もしてくるわけです。タウリンが腸内環境におよぼす影響については、こちらをどーぞ。

 

 

つまり、いろいろ書いてきましたが、

 

  • 肉と卵のダメージを軽減するためにも腸内細菌は必須!

 

って話でして、あらためて腸は大事だなーという毎度の結論であります。具体的な腸内の改善法についてもいつもどおり食物繊維を増やすのがベストですが、2016年のトゥーロ大学研究(2)なんかを見てると、

 

  • レジスタントスターチでTMAOの産生が減るよ!

 

って結論が出てるんで、ポテトスターチとかグリーンバナナなどを取り入れてみるのはアリかと思いますね。にしても腸内細菌は偉大。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。