定番の記憶術「記憶の宮殿」で落ち込んだメンタルが激しく改善するぞ!という話
定評のある記憶術といえば「記憶の宮殿」であります。ざっくり言うと、
- 頭のなかに架空の空間を思い描く(自分の部屋とか)
- その空間に覚えたい内容を配置する
みたいな感じでして、具体的には「全米記憶力チャンピオンが教える「記憶の宮殿」のやり方」をご参照あれ。
この手法が効果的なのは多くの実験で確認されてて、さらに近年では「良いアイデアが浮かびやすくなるかも?」なんて話まで出ててたりとか。なんかを覚えたい人は、まず試すべきテクニックの筆頭と言えましょう。
で、近年ではさらに「記憶の宮殿でメンタルが改善するぜ!」って話(1)があって、これがなかなかおもしろいんですよ。
これはケンブリッジ大学の実験で、うつ病に悩む42人の男女を2つのグループに分けております。
- ポジティブな過去の体験を15パターンほど思い出して、何度も何度も頭のなかでイメージする
- ポジティブな過去の体験を15パターンほど思い出して、頭の中の「記憶の宮殿」に配置する
「ポジティブな体験を記憶の宮殿に配置」ってのがわかりにくいかもですが、論文の中に出てる例だと以下のような感じ。
- 「大好きな友達とコーヒーショップで楽しい会話をした」という記憶を選んだ女性の場合
- 「記憶の宮殿」として「自分が子ども時代に住んでいた家」をチョイス
- 家の玄関先が、友達と会話したコーヒー店の店構えに変わったようにイメージ
- その前に大好きな友達が立ってほほえみかけている様子を思い浮かべる
このような手順で「記憶の宮殿」と幸福な体験をつなげていったわけですね。
どちらのグループとも、過去の体験を思い出した時間は1日8〜10分ぐらい。そこでどんな変化が出たかと言いますと、
- どちらのグループも同じぐらい過去の良い記憶が頭に残り、さらに同じぐらい気分が改善していた(ベック抑うつ質問票を使用)
- が、1週間後の再テストでは、「記憶の宮殿」を使ったグループのほうが記憶が鮮明で、気分の改善レベルも高かった。
だったんですな。楽しい記憶を思い出すだけでもストレスが減るってのは過去にも示されてましたけど、記憶術を使うと、その効果がさらに高まるわけですねー。さらに、「記憶の宮殿」は脳内に情報を叩き込むパワーが高いので、その分だけメンタルも改善するんだ、と。
当たり前といえば当たり前ですが、過去の良い記憶を15個ほど選んで記憶した直後からどの被験者も気分が改善してますんで、お手軽なメンタル改善テクとしてやってみてはいかがかと。
ちなみに、記憶の宮殿と過去の体験をうまくつなげられない場合は、
- 過去の体験の一番よいシーンを写真に撮ったとイメージ
- その写真を記憶の宮殿に置く
ぐらいでもよいと思います。どんな形でもいいので「良い体験」を架空の空間に置き、そこを定期的に散歩してみるのが大きなポイントであります。これは個人的にも試してみたいところですね。