「緊張して本番で力が出ない!」を克服するにはどうすりゃいいの?の心理学
「緊張して本番で力が出ない!」ってのは誰もが一度は経験したことがあるはず。スポーツの世界では「チョーキング」と呼ばれる現象で、ビッグマッチになるほどパフォーマンスが落ちちゃう選手の話はよく聞くところです。
もちろん、これはスポーツ以外でもおなじみで、テストの本番や大事なプレゼンなどでガチガチになって持ち前の力が発揮できないケースは「あるある」でしょう。
が、近ごろ「チョーキングにはこう立ち向かえ!」って内容の論文(R)が出てまして、これがかなり参考になります。
チョーキングはなぜ起きるのか?
これはカリフォルニア工科大学の実験で、36人の男女が対象。まずは簡単なテストで全員の「損失回避」レベルを調べております。
「損失回避」ってのは、「とにかく損をするのは嫌だ!損するぐらいなら得をあきらめる!」みたいな心理現象のことです。たとえば、
- じゃんけんで勝ったら1万円あげるけど、負けたら5千円もらいます!
って取引があった場合に「期待値が高いじゃん!もちろんやるよ!」と言える人は損失回避レベルが低め。「誰がやるか!」と即答するなら損失回避レベルは高めであります。
なんでこんなことを調べたのかというと、過去の研究により「損失回避が高い人ほどチョーキングが起きやすい!」って傾向がハッキリ出てるからです。つまり、本番で力が出せないスポーツ選手ってのは、
- 勝つよりも負けないことを優先する!
って気持ちが生まれていて、そのせいで積極的なプレイができなくなってるわけですな。事実、損失回避が高い人は線条体(体の動きをコントロールする脳のエリア)が働かなくなる現象も確認されてまして、そりゃあパフォーマンスも落ちるはずです。
チョーキングを克服する超簡単な方法とは?
そこでカリフォルニア工科大学は、続いて被験者たちに「勝てば50ドルをあげるよー。でも負けたら50ドルをもらうよー」ってルールのコンピューターゲームをやるように指示。当然、損失回避が高い人ほどパフォーマンスが落ちるはずですが、ここで全体を2つのグループにわけております。
- 普通にゲームをする
- 「自分はすでに50ドルを手にしている。このゲームは、その50ドルをキープできるかどうかを試すものなのだ」と想像してからゲームをする
このテクニックを、研究チームは「リアプレイザル」と呼んでおります。ざっくり言えば「原因に対する考え方を変えちゃう方法」で、さらにくわしくは「神経科学が教える最強の「怒り」コントロール法とは?」をどーぞ。
なんともシンプルな介入ながら結構な効果が確認されまして、結果は以下のようになりました。
これは被験者にチョーキングが起こった割合を示してまして、赤いバーが「リアプレイザル」を使ったときの結果です。いやー、なかなかの改善率ですね。
ちなみに、この研究では被験者のガルバニック皮膚反応も調べてて、リアプレイザルを行なった場合はみんなストレスレベルがガッツリと減ってたそうな。ちょっと考え方を変えるだけでも違いが出るもんですねぇ。
まとめ
つまり、この結果を現実に活かすのならば、
- 大事なテストがある場合:すでにそのテストをパスしたと想像し、「これは今の資格をキープするための試験なのだ」と考える
- スポーツの場合:すでに勝利したのだと想像し、「これは勝ち点を維持するための試合なのだ」と考える
みたいになりましょう。損が嫌いな人ほど効果的なワザだと思われすんで、ぜひお試しあれー。