勝ち続けるチームは何が違うのか?の科学(個人の優秀さはそこまで関係ないみたいよ)
「デキる人たちを集めたら意外とダメだった」みたいな話はよくあるわけです。
たとえば、スター選手をそろえたのに勝てないスポーツチームとか、凄い演奏者が集まったのにヒットが出ないバンドとか。どの世界にもよくある話っすよね。
ってことで、「強いチームはなにが違うのか?」って問題を調べたおもしろ研究(1)が出ておりました。
これはインド経営大学院の調査で、研究チームはこんなふうに言っておられます。
スポーツの世界では「チームの化学反応」の重要性が指摘されるが、これはとてもあいまいなコンセプトだ。この化学反応を、もっと厳密な方法で調べられないだろうか?
個の力よりもチームワークが大事だとはよく言いますが、果たしてそこにはどんな力学があるのか?って問題っすね。
そこで研究チームは、分析のために5つのデータセットを使っております。具体的には、
- NBAの試合記録
- イギリスのプロサッカー記録
- インドのクリケット戦の記録
- メジャーリーグの試合記録
- Dota 2(オンラインゲーム)のログ
などのデータを入手したそうな。オンラインゲームの戦績まで入れたのがおもしろいっすね。
ここから、個々のプレイヤーのスキル(ゲームごとの得点数とかで判断)やら勝率やらを回帰分析したところ、こんな知見が得られました。
- もちろん良い選手が集まったほうが勝率は高くなるが、思ったほどでもない
- より勝率に関係していたのは「過去に同じチームで勝ったことがあるかどうか?」だった
簡単に言えば、1回勝ったチームは、メンバーを変えない限りその後も勝ち続ける可能性が高くなるってことです。ギャンブルでいう「ホットハンド」みたいな現象が起きるわけですな。うーん、おもしろい。
全体的なデータを見てますと、野球だろうがオンラインゲームだろうが、過去に勝利を共有したチームは7%ぐらい勝率が上がってたりします。もちろん、分析の際にはいろんな変数を使って試してまして、なかなか信頼できそうな感じ。
研究チームいわく、
もちろん、チームにおける個々のプレイヤーの存在は重要だが、その視線の大半はプレイヤーの才能に注がれていることが多い。
しかし、当然ながら、才能の前にはもっと重要なファクターがある。チームのメンバーがどのようにコミュニケーションを取るのか?お互いにどれだけ信頼しているのか? これらの要素は、たんに個人の才能を合わせたよりも大きな違いを生み出す。
とのこと。こういった現象が起きる理由は謎ですけど、
- 共通の勝利体験がチームの結束を強めるから?
- 1回の勝利が「このチームはいける!」って自信を生むから?
みたいな流れですかねぇ。いずれにせよ、勝ちやすいチームの特性として覚えておくと、現実のビジネスなんかでも使えそうな発見ではないかと。