つねに的確な判断を下せる人は何が違うのか?の心理学
つねに的確な判断を下すには何が必要なのか?
かつて「賢者になる方法は?」って話を書いたことがありました。ここでいう「賢者」ってのは、「誤った情報に流されずに明確な判断ができる人」みたいなイメージで、近ごろよく研究例を見かけるんですよ。
当ブログで紹介した例だと、
などが代表的なところ。「あの人はいつも賢明なジャッジをしてるよなー」みたいに思える人がいれば、それが賢者なのかもですな。
で、新しく出た論文(1)は、「賢者に必要な条件」を深掘りしてくれていていい感じでした。
「ヨーダ vs. スポック」勝つのはどっちだ!
これは、上のエントリでも名前が出てるイゴール・グロスマン博士の研究で、巻頭で以下のような問題意識が述べられております。
賢者の条件には2つの考え方がある。ひとつは、感情を抑えたほうが賢明な判断ができるという発想だ。
またいっぽうでは、自分の感情に気づいてバランスを取るのが、真に賢明な判断をもたらす道だという考え方もある。
感情を抑えてクールに考えたほうがいいのか、感情をベースに思考を組み立てたほうがいいのか、って問題っすね。研究チームは、この2つの考え方を「ヨーダとスポック」の対立になぞらえております。
偉大なるジェダイマスターとエンタープライズ号の副操縦士は、「抜け目のない洞察力」という点で一致している。どちらも困難な問題に確かな解決策をあたえ、利己的な欲望をこえて公益に尽くす意志を持つ。
ところが、同時に2つのキャラクターは、「感情への向き合い方」という点で根本的に異なる態度を取っている。
いつも冷静に「船長、それは非論理的です」と言い放つスポックと、感情を受け入れるように弟子にうながすヨーダは、確かに真逆ですからねー。
賢者の条件は「エモダイバーシティ」
そこで博士は、3,678人の男女に6つの調査を行なっております。たとえばどんなものかと言うと、
- 「その日にあった大変なこと」を毎日記録してもらい、賢者のような行動が取れる人は何が違うかをみる
- 過去に味わったトラウマ体験を聞き出し、それにどのようなリアクションを取ったかをチェックする
- ウクライナ紛争のようなデリケートな事件への感情的な反応を尋ねる
みたいな感じです。人生の難問へどのように立ち向かったかと聞き出しつつ、「賢明な判断ができる人」に特有の性質をあぶり出していったわけですな。
その結果をひとことで言いますと、
- 賢者はエモダイバーシティのレベルが高い!
のようになります。エモダイバーシティについては「メンタルで体の老化を防ぐ鍵とは?」にくわしく書いたとおりですが、ざっくり言えば、
- いろんな種類の感情を体験しつつ、ひとつの感情にとらわれない状態
のことです。「嬉しい」や「幸せ」といったポジティブな状態はもちろん、「悲しい」や「怒り」などのネガティブな状態もひっくるめて、いろんなパターンの感情を認識できる人ほど賢い行動を取れるんだ、と。おもしろいですねぇ。
まとめ
研究チームいわく、
スポック船長のように感情を表さないやり方は、賢明な判断に導かないようだ。逆に、最適な行動を取るためには、ヨーダのように様々な感情を認識しながらバランスを取る必要がある。
というわけで、賢者問題については「スターウォーズ」のほうが正しいみたい(笑)
こうなると「エモダイバーシティ」を育む方法が気になるとこですけど、
といったあたりが参考になるかと思われます。どうぞよしなに。