どの方法が不眠対策のベストなのかを決めてみたぞ!という系統的レビューの話
眠れない!ってのは難しい症状で、なかなか決定的な対策がない状況なわけです。もちろん、運動がいい!とか寝る前は部屋を真っ暗に!みたいな定番のアドバイスが効くのは間違いないものの、果たしてなにがベストなのかってのはよくわからんわけです。
そんな状況下、「どの方法が不眠対策のベストなのかを決めてみたぞ!」って論文(R)が出まして、かなーり参考になる内容でした。
これは過去の不眠研究から517人の患者さんのデータをまとめたレビュー論文です。それぞれの実験で使われた対策法は違うんですが、おおむね以下のようなパターンにまとめています。
- 睡眠衛生アドバイス系:「日中に運動しとくとよく寝れますよー」とか「夜中のカフェインはヤバいですよー」みたいな睡眠の知識を教えて不眠改善を狙う。
- 刺激制御療法:「眠くなってからベッドに入る」や「寝床で本を読まない」といった決まりごとを守り、「ベッドは不眠の場所だ!」と思い込んだ脳を再教育してやる。認知行動療法系テクニックのひとつ。
- 睡眠制限療法:あえて睡眠時間を減らしてから、新しい眠りのパターンを体に覚えさせる方法。くわしくは「睡眠薬よりも効果がある快眠トレーニング法とは? 」をどうぞ。
- 複数の治療法を使う:上に並べたいろんな治療法をまとめて使う方法。
でもって、まずは「もっとも効果がなかった方法」から紹介すると、
- 睡眠衛生アドバイス系は一番効果が低かった!
だったそうです。もちろんアドバイスの中身が無意味ってわけじゃなくて、これは「正しい知識を学んでも実践しないとダメだよ!」って当たり前の話です。単に睡眠の知識を学んだだけでは、実際に行動に移すような人はなかなかいないってこってすな。まぁこれはどんなジャンルの知識でも言えることですが。
では、効果があったのはなんだったかと言いますと、
- 刺激制限療法はやっぱ効く!
- 睡眠制限療法もやっぱ効く!
だったそうです。このうちどちらの方が優秀かはわからんのですが、とりあえず「個々のテクニックはひとつずつやった方が効果が高いよ!」ってことなんで、実践のときは個別にどーぞ。
ってことでお悩みの方はどちらかを試してみちゃいかがかと思うわけですが、これはあくまで「不眠症」に対してのテクニックでして、「なんか最近寝つきが悪いなーー」ぐらいのいレベルな方も使っていいかは不明であります。そこはご注意ください。
それでも試したいという場合は、睡眠制限療法は体への負担が大きいんで、個人的には「刺激制限療法のほうがいいだろうなー」と思っております。その具体的なテクニックについては、「5ステップでウソみたいに寝つきがよくなる「刺激制限療法」実践ガイド」をどーぞ。