今週の小ネタ:「若いときにああしとけば……」問題、カフェインと痛み、他人のスマホを盗み見したらどうなる?の科学
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
みんな「若いころの自分」にどんなアドバイスをしたいのか?問題
「あの時ああしてればなぁ」とは誰もが思うことで、若いころの自分を叱りたい!みたいな人も多いでしょう(私もそうです。特に運動しとけばよかったなぁとか)。
で、新たなデータ(R)は、この「若いときにああしとけば……」問題について調べためずらしい内容になっておりました。
これはクレムソン大学の研究で、数百人の男女を対象に「若いころの自分に3つだけアドバイスを送るとしたら何を選びますか?」と尋ねたもの。それですべての回答を集めたところ、もっとも多かったパターンの答えが、
- 人間関係に関するもの。特に「あの人とは結婚するな!別の相手を選ぶんだ!」みたいなやつが多い(笑)
- 教育に関するもの。特に「大学には行っておけ!」とか「もっと勉強しとけ」みたいなやつが多い
- 自我に関するもの。特に「自分を偽るな!」や「なりたい人間になれ!」みたいなやつが多い
- 目標に関するもの。特に「チャンスを逃すな!」「自分を改善し続けろ!」みたいなやつが多い
- お金に関するもの。特に「貯金しろ!節約しろ!」みたいなやつが多い
といった感じだったんだそうな。いずれも納得の結果というか、「人生における後悔はなんですか?」と尋ねた2008年の研究(R)と重なるとこが大きいっすね。
とりあえず、過去の自分に言いたいアドバイスは現在の自分にも有効なケースが多いでしょうから、いまから守ってみても遅くない気はしますねー。
カフェインで痛みに強くなる?
次はコクラン共同研究のレビュー(R)で、「カフェインでどこまで痛み止めの効果がブーストするの?」って問題を調べてくれてます。カフェインで痛み止めの効果が上がるのは有名な話で、有効成分を全身にめぐらせる働きを上げてくれるんですよ。
で、ここでは先行研究から7238人のデータを抜き出して、イブプロフェンのような鎮痛薬とカフェインを組み合わせたらどうなるかをチェック。全体的にはデータの質も高くていい感じです。
そこでどんな結論が出たかと言いますと、
- 1回100mgのカフェインを鎮痛薬に添加すると、「痛みがやわらいだ!」と報告した人の数が5〜10%増えた!
みたいな感じです。だいたいコーヒー一杯分のカフェインで、そこそこの効果が出るみたい。まぁ今の鎮痛薬にはカフェインが入ってるケースが大半ですからね。
ちなみに、近年では「カフェインだけでも痛み止めに効くんじゃない?」って知見(R)も報告されてまして、こちらも気になるところ。なんでも1日170mgのカフェインを飲んだグループは痛みに強くなったんだそうな。これまたおもしろいっすねー。
他人のスマホを盗み見したらどうなる?の科学
最後はブリティッシュコロンビア大学などの研究(R)で、「他人のスマホを盗み見したらどうなる?」って問題について調べた変わり種の論文です。
これは102人の男女を対象にした調査で、全員に対して、
- 他人のスマホを盗み見したことある?
- 他人からスマホを盗み見されたことある?
という2つの質問をぶつけて、それから人間関係に何が起きたかをチェックしたんですね。これで何がわかったかというと、
- 盗み見をしてもされても、その人間関係は50%の確率で終わる!
だったそうです。研究チームいわく、
盗み見された側は、信頼が裏切られた気分になり、両者の関係性が壊れつつあることを実感する。そのせいで、最終的に2人の関係が終わる確率も上がる。
もうひとつは、最初から両者の関係が強固でない場合にも盗み見は起きる。たとえば、さほど親しくない同僚が、相手のコンタクトリストを盗もうとするケースなどだ。
ってことで、いろんな理由があるにせよ、スマホの盗み見は悪い影響しかおよぼさない感じっすね。お気をつけくださいー。