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他人への親切で逆境に負けない心が手に入るかもだぞ!という観察研究の話


 
このブログでは「親切って大事よねー」みたいな話を大量に書いていて、


といったデータが報告されてたりします。こんだけ手軽でメリットが多い行為も他にないんじゃないでしょうか。


でもって新しい論文(R)も「親切のメリット」にまつわる話で、研究チームはこう言ってます。


「市民的関与」が助けた相手だけでなく、自分にもメリットがあることは多くのデータが示している。この研究では、「市民的関与」が困難なチャレンジや逆境に立ち向かう力も与えてくれる事実を示した。


市民的関与ってのは「世のため人のためになる行為をする」ことで、ボランティアをしたり、困ってる隣人を助けたりとか、そういうやつですね。他人を親切にすると、ちょっとしたトラブルでもヘコたれないメンタルが手に入るというんですよ。


これはオタゴ大学の実験で、530人の若い男女が対象。研究はクライストチャーチの銃乱射テロのあとに行われまして、事件について何らかのボランティア活動をした人だけを選んだそうな。


ボランティアの種類はいろいろで、ある者は食事や花をモスクに備え、またある者はお金を寄付し、タクシーの運転手をしている人は無料でサービスを提供したりと、思い思いの親切を実践したらしい。



その上で、全員について以下のようなポイントをチェック。

  • 世のため人のためな行動を普段からどれぐらい行なっているか? これからもボランティアをするつもりはあるか?
  • レジリエンス(落ち込んでもすぐ復活できる能力)がどれぐらいあるか?
  • 日常的な幸福度はどれぐらい高いか?

すべてのデータをひっくるめてどんなことがわかったかと言いますと、

  • ボランティアの量が多い人ほどとにかく幸福レベルが高い
  • 幸福度の35%は他人への親切の量で説明できる
  • レジリエンスの5%は他人への親切の量で説明できる

だったそうで、この傾向は年齢や教育レベルを調整しても確認されたみたい。幸福度の35%ってのは結構な数字ですわな。


研究チームいわく、

社会貢献と個人の幸福は同じコインの裏と表だ。他人のために貢献すれば、私たちの幸福度とレジリエンスも高まる。

とのこと。またも「親切最強説」に心強いデータが出てきましたな。


もちろんこれは横断研究の話なので、長期的なリサーチをしたらまた違う数字になる可能性は否定できません。その点ではちょっと弱いんですけど、親切のメリットは間違いなさそうであります。


ちなみに、この研究では「とくに幸福度を高めやすいポイント」も出てまして、

  • 市民的意図(これからも人のためになることをするぞ!という意気込み)
  • 社会的信頼(この世の中の人は基本的に信頼できるぜ!という感覚)
  • 帰属意識(自分は特定のコミュニティに所属できてるぜ!という感覚)
  • 隣人補助(とにかく自分の身の回りの人から優先して助ける)

みたいになってます。ひとくちに「世のため人のため」と言っても、メンタルへの影響が良い親切があるわけっすね。


まぁどんなメリットがあるにせよ、親切でこっちの気分が良くなるのは確実ですから、「情けは人の為ならず」を心がけときたいところです。

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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