今週の小ネタ:テレビゲームは太る?チームスポーツは脳にいい?人は自分の知性と魅力を正しく判断できない?
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
テレビゲームで太るのか太らないのか?というメタ分析
「テレビゲームばっかやってると太るのか?」について調べたメタ分析(R)が出ておりました。
これはヴュルツブルク大学の論文で、過去のテレビゲーム研究から優良な20件を抜き出し、38,097人分のデータをまとめた内容になっております。
その結果をざっとながめてみると、
- ゲームをやってる時間の多さは、肥満になる理由の1%も説明できない!(つまりゲームと肥満は関係ない)
- ただし、ゲームと肥満がほぼ無関係なのは10代までで、そこを過ぎるとちょっと関係する
みたいになってます。基本的にゲームは肥満の理由にならないんだけど、大人はちょっと注意したほうがいいかも?ぐらいの話になってます。
なんで大人はゲームで悪影響が出るのかは不明なんですけど、研究チームは「ゲーム好きは子供時代からずっとプレイを続ける傾向が強いので、運動不足の量が溜まっていくんじゃないの?」と推測しておられます。事実、このデータでは、ゲームをしてる大人ほど運動量が少ない傾向は確認されてるんで、結局は体を動かさないのが悪いんだろうなぁ、って気がしてきますね。
もっとも、この論文はあくまで座ったままプレイするゲームに限った話なんで、Oculus Questのエクササイズ系ゲームなら全く問題はなさげ。というか、2015年のメタ分析(R)なんかを見ても、「Wii Sportsみたいに体を動かすゲームは普通のアウトドア系エクササイズと変わらない健康効果がある!」って結論ですしね。
ゲーマーの方におかれましては、たまに体を動かす系のソフトをプレイすれば、十分にリカバーが効くんじゃないかと思う次第です。
チームスポーツはどこまで脳にいいのか?
続いては「チームスポーツって脳にいいの?」って問題を調べたデータ(R)のお話です。もともと運動が頭にいいのは常識ですが、サッカーやバスケのようなチームスポーツに限ったらどうなのか?ってことですね。
これは4,191人のアメリカ人の子供(9〜11)を対象にした研究で、
- みんなの脳をスキャンして調べる
- どんなスポーツをしてるかを尋ねる
って2つのポイントをチェックして相関を見ております。その結果について研究チームいわく、
今回の研究により、スポーツが子供たちの海馬のボリューム増加と関連し、少年においてはうつ症状の低下と相関があることがわかった。
だそうで、簡単に言えばスポーツをやってる子供は海馬(記憶力に関わる脳のエリア)がデカい傾向があったみたい。さらには、
スポーツの海馬サイズの相関は、チームのスポーツに参加している子供ほど大きかった。これは、エクササイズと社会的なサポートの組み合わせが、脳に良い影響を与えているのかもしれない。
という傾向も出たそうで、どうも集団でやるスポーツのほうがいいのかも?って結論になってました。もちろん、これだと「海馬がデカい人だから集団スポーツを好むのだ!」って可能性は否定できないわけですが、確かにチーム戦のほうが脳を刺激しそうな気もするわけです。うーん、チームスポーツ苦手なのよね……。
人は自分の知性と魅力を正しく判断できない!
最後はワシントン大学の研究(R)で、「人間は自分の能力をどこまで正しく自己診断できるのか?」って問題を扱ってます。知力とか創造性とか人間にはいろんな能力がありますが、果たしてどこまで正しく自分の能力を見抜けるのか?という話ですね。
調査では165人の男女を集めてパーソナリティと知性を測るテストを指示。さらに、いろんなコミュニケーションの場面でどのように反応するかもチェックしたそうな(初対面の人とどんな会話をするか?とか)。
でもって、すべてのデータを参加者の自己診断と比べたら、以下のような結果になりました。
- みんな自分の知性、創造性、魅力の3つを自己診断するのが超ニガテ!
- 一方で、みんな自分の不安傾向を判断するのは超得意!
というわけで、自分の頭の良さやら魅力を正しく測れる人はほとんどいなかったそうな。たいていの人は、実力より大きく見積もるか小さく見積もるかのどっちかだったみたい。
その理由はシンプルで、みんな自分の感情を判断するのはできるけど、知性や魅力は他人との比較の要素が大きいんで、かなりの客観性がないとうまく実情をつかめないんですよ。そりゃそうっすよね。
なので、以上の3つについては、自己判断するよりは他人に聞いちゃったほうが早いかと思われます。自己診断で暴走するとロクなことがなさそうなんで。