北朝鮮に行ってきた #2「庶民の暮らしとか」
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というわけで、「北朝鮮に行ってきた」シリーズの続きです。今回は「北朝鮮の一般庶民はどんな暮らしをしてるの?」をテーマにお送りします。
通常の北朝鮮ツアーだと庶民の家には行けないんですけど、今回は祖国訪問団に便乗させてもらったんで、幸いにも一般人の暮らしを見せていただくことができたんですよ。普通のツアーは「北朝鮮がよその人に見せたいもの」しか見られないので、なかなか貴重な体験でありました。
今回訪ねたのは、平壌の中心地から車で15分ほどのエリア。レトロフューチャーな高層ビルが立ち並ぶ中心地とは異なり、ご覧のように老朽化した建物がズラリと並んでおります。
右のアパートはペンキの塗り替え中だそうで、北朝鮮の建物は定期的に外壁の色を変えるらしい。つまり、内装は改善背ずにガワだけいじって新築っぽく見せてるわけっすね。北朝鮮イズムですなぁ。
町中はこんな風になっててて、「プロジェクトA」でジャッキー・チェンが自転車で走ってたみたいなイメージ。
建物の内部は廊下に照明がついてないもんで、ちょっと禍々しいです。廊下の奥から殺人鬼が出てきそうな。
いちおう建物にはエレベーターもあるんですが、私が訪れたいくつかのアパートはすべて故障中で止まってました。当然、住人の方々は階段を使ってまして、高層階に住むおじいちゃんとおばあちゃんは大変だろうなぁ、と。
室内は昭和初期の家屋に近い内装で、青森の田舎を思い出しました。壁紙の感じとか、たまりませんねぇ。
北朝鮮の物件には「収納」って概念がないらしく、押し入れや床下収納などはゼロ。必然的に室内は収納家具だらけになりまして、かなり窮屈な印象でした。だいたい70平米ぐらいの広さに6人で暮らしてるらしい。
風呂場も昭和初期の香りがプンプンします。水道の使用量に限界があるので、つねに大量の水をためるためのオケが置いてありました。うーん、大変。
北朝鮮の人はお酒が大好きなんで、謎のペットボトルに入った生ビールを常備してるらしい。ちょっと飲んでみたら、オリオンビールのようにさわやかな飲み心地でビビりました。ビールはレベル高い。
ビール以上に北朝鮮の人が大好きなのがカラオケであります。なんせこの国では娯楽が少なくて、ほぼ「喫茶も無ぇ! 集いも無ぇ!」みたいな状態なんで、歌を歌うのがなによりの楽しみなんだそうな。
なので、たいていの家にはカラオケセットがあって、みんな自前のマイマイクでガンガンに歌い上げます。上の写真は、この家の若者が持ってた中国製の黄金マイク。
ただし、北朝鮮では歌える曲も制限されてるんで、洋楽などは存在しません(もちろんみんなクイーンもマイケル・ジャクソンも知らない)。その代わりに歌えるのは、「北朝鮮の人民はいかに苦難を耐えてここまで来たか!」とか「金日成様が私たちに豊穣を与えてくださった!」とか、 そんなのばっか。
カラオケの画面も悲壮感に満ちたイメージが多くて、鉄条網ごしにこちらをにらむ母の顔が怖いです。ジョイサウンドでは絶対にお目にかかれない画面ですな。
かと思えば、急に謎のカニが出てきたりするのも楽しいです。タツノコプロ感というか。
そんなこんなで規制だらけの国ですが、いちおう自国製のスマホは出まわってます。ただし動作はかなり遅いし、自家製OSを使ってるんで拡張性もゼロ。通信範囲は北朝鮮の内部だけに限られております。
北朝鮮スマホに入ってた謎のゲーム。独特のデザインっすね。
というわけで、今回は北朝鮮の暮らしを見てみましたが、これはあくまで平壌の話でして、地方都市だともっと貧しい暮らしを送っているのだろうと思われます。事実、北朝鮮の各地で激しい食糧不足が起きてるのは有名な話ですし、これだけだとまだ実態はわからないなぁ、という感じっすね。