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女性がメンタルを健康に保つには「筋力」が必要なのかもだぞ!という観察研究の話

 

筋トレにはメンタルの改善効果がある!ってのはよく言われる話。いまんとこは有酸素運動の方が優秀なデータが多いんですけど、軽い不安ぐらいなら筋トレで吹き飛ばせる可能性は結構高いんですよね。

 

 

で、新しいデータ(R)も「筋トレとメンタル」の話で、特に女性を対象にした研究になっております。

 

 

これはシンガポール国立大学の調査で、まずは研究チームの問題意識からどーぞ。

 

中年期の女性は、世界のどこでも難しいポジションにいる。子供、年老いた親、夫、仕事のあいだで板挟みの状態になりやすいからだ。ここで全ての要求を満たそうとして、自分の欲求を犠牲にすれば、不安と鬱は知らぬ間に進行してしまう。

 

ミドルエイジに差しかかった女性はプライベートと仕事の負荷が高くなりやすいので、世界的にみても鬱や不安障害をわずらうケースが大。そこで、女性の鬱や不安の改善法を見つけよう!ってのがこのデータの主旨になります。

 

 

研究では45〜69歳の女性1,159人を集めまして、まずは全員に鬱と不安のテストを指示 (CES-DとGAD-7)。さらに、以下の2ポイントを調べたんですよ。

 

  • 上半身の筋力(おもにハンドグリップの力を計測)
  • 下半身の筋力(歩行スピード、立位バランスなどで計測)

 

結果、全体のうち180人がメンタルの問題に悩んでいて、主な症状は、

 

  • 不安のコントロールができない
  • なんにも興味がわかない
  • 疲労感が大きい
  • 睡眠のトラブルがある
  • 食欲がない

 

みたいになってます。でもって、すべてのデータをまとめたところ、

 

  • 上半身の筋肉が弱い人は鬱と不安に悩むリスクが68%高い(CI, 1.18-2.40)
  • 下半身の筋肉が弱い人は鬱と不安に悩むリスクが33%高い(CI, 1.09-1.63)

 

だったそうです。もちろん、これだけで「筋肉が弱い人はメンタルも弱くなる!」とは言えないものの、そこそこの差は出たなーって感じっすね。

 

 

研究者いわく、

 

鬱と筋力には相関が確認されたが、もとよりこの研究で因果関係が特定できるわけではない。しかし、過去の臨床テストでもエクササイズの大きな効果が確認されているのは間違いない。

 

とのこと。あくまで横断研究なので「筋肉が弱い人はメンタルも弱くなる!」んじゃなくて、「筋トレの時間をちゃんと作るような人は自己管理がしっかりしてるので、その分だけストレスが低くなる!」って可能性も十分にありましょう。また、別の原因で鬱になった人は、いよいよエクササイズもしなくなるでしょうしね。

 

 

ここらへんの因果関係は今後の研究に任せるしかないものの、先行研究を見ても筋トレがメンタルに良さそうだって事例は多いので、ボディメイクの目的以外にもぜひ筋力アップにいそしんではいかがかと思う次第です。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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