タバコを吸うと体調だけでなく「性格」まで悪くなるかもだ!という観察研究の話
タバコが体に悪いってのは言うまでもないわけですが、今度は「タバコを吸うと性格が悪くなる!」っていうおもしろいデータ(R)が出てました。
これはモンペリエ大学などの研究で、先ずは結論部から引用すると、
タバコの影響には様々なものがあるが、実は個人の考え方、感情、行動なども長期的に変えてしまう。
のようになってます。たんに体に悪いだけでなく、タバコは思考法や物の感じ方まで変えてしまうのではないか、と。
これはアメリカや日本などで行われた喫煙者の調査から4つのデータセットを使った観察研究で、そうサンプル数は15,572人。調査の期間は4〜20年にわたってまして、いずれのデータも、
- 普段どれぐらいタバコを吸ってるか?
- パーソナリティは変わっていないか?
という2つの要素をチェックしております。観察研究としてはそこそこ良いデータじゃないでしょうか。
で、すべてのデータをまとめたら、こんな傾向が確認されました。
- タバコを吸ってる人は……
- 神経症傾向が悪化する!(より不安になりやすくなる)
- 外向性が低下する!(人との交流が嫌になる)
- 開放性も下がる!(好奇心が薄れる)
- 協調性も下がる!(他人と協力する気持ちがなくなる)
- 誠実性が下がる!(マジメにコツコツやる気持ちが消える)
ってことで、ビッグファイブがすべて悪い方向に向かうみたいっすね。要は、タバコを吸ってると嫌な人間になるってことでして、こりゃちょっと怖すぎますな。
この中だと特に神経症傾向と外向性への影響が大きくて、どんどん不安がちでコミュニケーションを避けるキャラになってくらしい。しかも、データではさらに恐ろしい傾向も確認されていて、
- タバコをやめても性格がポジティブになるかどうかはわからない!
って報告もなされてたりします。もしかしたら禁煙で性格がもとに戻る可能性もあるものの、どうにも証拠不足としか言いようがない感じなんですよ。
ただし、いちおう禁煙で性格が変わる可能性も指摘はされていて、
- タバコをやめると協調性が低下するかも?
ぐらいの小さな相関は出てたりします。タバコを吸い続けても協調性が下がるし、止めても協調性が下がる可能性があるんだ、と。
なんだか袋小路になってますけど、この現象について研究チームはこう推測しておられます。
タバコには、喫煙者同士のコミュニケーションを促進する働きがある。これが禁煙によって失われてしまうからではないか。
タバコでつなぎ止められてた人間関係が禁煙のおかげで崩壊する!みたいな話ですね。踏んだり蹴ったりっすな。
もちろん、これは観察研究の話なんで、「タバコで性格が変わるんじゃなくて、ネガティブな人がタバコを吸うのだ」って可能性も十分にあります。事実、先行研究でも神経症傾向で誠実性が低い人ほどタバコを吸いがちってデータは出てまして、こちらの方向性も確実にあるんだろうとは思うわけです。
が、一方で研究チームは、「タバコで体調を崩すせいで性格が変わるんじゃないの?」とも仮定してます。タバコが不眠や心疾患リスクの増加につながるのは確実なんで、その肉体的なダメージが精神にも影響するんじゃないか?ってことですね。
タバコは人間から必要なエネルギーを奪う。その結果、感情の安定やコミュニケーション、セルフコントロールなどに欠かせないモチベーションが低下してしまうのだろう。
つまり、どういう流れかというと、
- もともと神経症ぎみな人が、気持ちをやわらげようとしてタバコを吸う
- タバコのせいで体調が崩れ、体からエネルギーが失われる
- エネルギーがないせいでいよいよ神経症になる
- さらにタバコを吸う
- 最初にもどる!
みたいな感じです。まさに負のスパイラル!
そんなわけで、タバコは体だけじゃなくて性格も悪化させるかも!ってのはぜひ押さえておきたいポイントっすね。どうぞよしなに。