「筋トレって不安症に効くの?」問題についてのメタ分析が出たぞー
筋トレのメンタル効果について信頼性が高いデータが出た
運動はメンタルにいい!ってエビデンスは山ほどありまして、落ち込んだときは軽く体を動かすのが一番なんですが、ここで問題なのが「筋トレはどうなの?」ってとこです。というのも、これまでの研究はランニングやジョギングの効果を調べたものがメインで、筋トレがメンタルに効くかどうかはハッキリ言えなかったんですよ。
と思ってたら、かなり良い論文(1)が出まして、やっと「筋トレで強いメンタルは作れるのか?」って問題に結論が出せそうであります。
これはリムリック大学の研究で、過去に行われた筋トレ実験から、質が高い16件のデータを抜き出したメタ分析。サンプル数は922人ですが個々の実験の質が高いので、データとしての信頼度はかなり高くてよろしいですねー。
やはり筋トレにはメンタルの改善効果があった
参加者の平均年齢は43才で、実験の期間は11週間ぐらいが多め(全体の幅は2〜16週間)。メンタルの測定には、だいたい状態特性不安尺度っていう定番のテストが使われております。
さて、それでどんな結果が出たかといいますと、
- 筋トレには小から中程度の不安改善の効果がある!
- 筋トレの不安解消効果は有酸素運動と同じぐらい!
って感じです。「小から中程度の効果」ってのは、認知行動療法よりは劣るかもですが、有酸素運動と同じぐらい不安をやわらげるんだから十分に使えるレベル。不安対策を目当てに筋トレやるのもありじゃないでしょうか。
筋トレの不安解消効果は性別や年齢を問わない
さらに、メタ回帰分析で細かいところを見てみると、
- 筋トレのメンタル改善効果は体が健康的な人ほど大きい
- 性別や年齢に関係なく、筋トレには不安をやわらげる効果がある
- 筋トレの期間、1週間の回数、負荷の強さなどは、不安対策の効果をあまり左右しない……かも
って結果も出ております。そんなに長期間の筋トレや高負荷トレーニングをしなくとも、わりと簡単に不安の低減効果は得られるっぽい。これは嬉しい結果ですねー。
深刻な不安障害に効くかどうかはわからない
ただ、いちおうの注意点を申し上げておきますと、
- 全体的に筋トレの期間と負荷を報告してないケースが多いので、今後の調査によっては、「最適な筋トレ量や負荷」については結論が変わる可能性はある(筋トレが不安に効くって結論は変わらないと思いますが)
- このメタ分析の参加者には「不安障害」の人がいないので、正式に病名がついた人に筋トレが効くかはわからない(このデータは日常的に不安になりやすいタイプの人を対象にしている)。
って感じ。あくまで「自分はメンタルが弱いなー」って人には筋トレが効くって話なのでご注意ください。
まとめ
ちなみに、筋トレがメンタルに効く理由には諸説あるんですけど、この論文の著者たちは
- 筋トレで健康になるから
- 筋トレには自信を増やす作用があるから
といったメカニズムを想定しておられます。いずれにせよ、筋トレがメンタル効くのがわかったのはありがたいっすね。
もちろん、深刻な不安の場合は投薬や認知行動療法を試すのが先ですけども、あわせて筋トレを試してみるのもよいのではないかと思う次第です。