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「満腹で逆に食べたくなる」という恐怖の現象が確認された件

Eating 

 

本来、食欲は自動で調整されるはずですが……

パレオダイエットの教科書」では、「私たちの食欲は最適なレベルに自動で調整される!」ってのが基本的な考え方になっております。体内のエネルギーが不足すれば腹が減るし、逆にエネルギーが過剰になれば腹いっぱいになるしで、脳が自動的に食欲を調整してくれるんだよー、というシンプルな説です。

 

 

が、このシステムは、あくまで人体の機能がうまく働いていればの話。新しく「サイコロジカルサイエンス」に出た論文(1)では、「腹がいっぱいになったせいで逆に食べ過ぎちゃうケースもある!」って結論になってて参考になります。

 



食欲はどうして狂うのか?

これは32匹のラットを使った実験で、「食欲はどうして狂うのか?」について調べたもの。実験デザインは以下のようになっております。

 

  1. 食事して満腹状態のラットを特製の箱に入れる
  2. 箱の中にはボタンがあり、これを押すと美味しいエサが出てくる
  3. 満腹にしたラットを特製ボックスに入れる作業を4日くり返す

 

このような状態に置かれたラットたちは、当然ながら「腹いっぱいの時にボタンを押すと美味しいエサが食べられる!」と学習するわけです。そこで実験は次の段階に進みまして、

 

  1. 空腹状態のラットを別の箱に入れる
  2. この箱には同じようなボタンがあるが、押してもエサは出てこない
  3. 空腹のラットをエサが出ない箱に入れる作業を4日間くり返す

 

ってプロセスを重ねたんですな。すると、今度はラットたちは「おなかが空いたときにボタンを押してもエサは出ない!」と学習したわけですね。

 

 

お腹いっぱいのときほどさらに食べる

その後、さらにこのラットたちを「エサが出る箱」に入れ直したところ、

 

  • 空腹のときはボタンを押さず、お腹いっぱいのときにボタンを押してエサを食べる

 

って行動を取るようになり、その後も、ラットたちは「お腹いっぱいのときほどさらに食べる」って行動をくり返したんだそうな。そのように学習させたんだから、当然と言えば当然ですが。

 

 

研究者いわく、

 

エサがあろうがなかろうが、ラットの身体的な状態が、学習した行動を引き起こすキューになったようだ。

 

とのこと。つまり、本来は「お腹がいっぱいのときにボタンを押すとエサが出る」って話だったのが、いつの間にか「お腹いっぱいの感覚は、自分がもっと食べたいというサインなのだ!」って状態にスライドしちゃったわけですね。これはヤバい。

 

 

もちろん動物実験の話なんで、ヒトにも当てはまるかは不明であります。が、なんせ「行動の学習」ってのはすべての動物に見られる現象なんで、ヒトだけが例外と考えるのはちょっと難しいかも。

 

 

脳が満腹感を「食欲のサイン」だと誤解する

実際、脳の暴走によって食欲が増える仕組みは「パレオダイエットの教科書」にも書いたとおりでして、体のサイン(正常な空腹)を、学習された行動が上書きしちゃう可能性は十分にありそう。本論の研究者も、やはりヒトでも同じ現象が起きていると考えてまして、

 

さまざまな刺激が、私たちの特定の行動を導き、やがて学習を通して定着させていく。たとえば、お気に入りのレストランで得られる視覚・音・香りといった刺激は、あなたに「好物の食事が得られる」というシグナルをあなたに送る。その結果、口のなかには唾液があふれ、あなたはもっと食べさたくなるように駆り立てられる。

 

とのこと。加工食品のように刺激にあふれた現代の環境は、たんにヒトの食欲を暴走させるだけでなく、私たちの脳が「満腹感」を「自分はもっと食べねばならないのだ!」というサインとして混同させてしまう作用を持つのではないか、と。いやー、恐ろしいですな。

 

 

この問題を解決する手立てがあるかはわかりませんけど、当面はパレオダイエットで脳の刺激を減らしつつ、「食事日記」のような認知行動療法系のテクニックを併用していくのがベストかなーと思う次第です。とりあえず、「自分は満腹感を食欲のサインと取り違えてないか?」ってのを問いかけてみるのもよさそうです。


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