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急にお腹が痛くなった!下痢になった!を「あのオイル」が解決してくれるぞ!というメタ分析の話



「いきなりお腹に激痛が!」とか「急に下痢になった!」とか「腸内にずっとガスが…」みたいな症状にお悩みの方は少なくないはず。たまに起きるような問題であればそこまで深刻じゃないでしょうが、これが定期的に続くようならIBSを疑ったほうがいいかもしれません。期的に原因不明の腹痛や不快感が発する症状のことです。


このブログでも何度か書いてるとおり、IBSはいまだ原因不明でして、これといった治療法がない難しい症状のひとつ。いろんな対策を使って症状をやわらげるしかないのが現状なんですけど、近ごろ新たに有望な方法(R)が見つかってたんで簡単にまとめておきます。


これは過去のIBS研究から12件の優良データを抜き出したメタ分析で、「ペパーミントオイルが謎の下痢や腹痛に効くか?」って問題を調べてくれております。サンプル数は835で、メタ分析としてはまぁまぁの品質になってますね。


「なんでペパーミント?」と思った方もいそうですが、実はこのオイル、いろんな機能を持ってまして、

  • 抗菌作用がある
  • 抗酸化パワーも高い
  • 炎症を抑えるメリットもある
  • 免疫システムを正常化してくれる

みたいな働きが確認されてるすごいやつなんですよ(R)。なので、これまでも「ペパーミントオイルで腸内の異常が治るのでは?」とは言われてきたんですよね。


今回の研究で扱ったデータの概要は、こんな感じです。

  • 実験期間は2〜12週間(平均4週間)
  • 1日に450〜750mgのペパーミントオイルを飲む
  • もちろんすべてのデータはRCT
  • ペパーミントオイルの効果については「治療必要数」で判断

治療必要数ってのは、「何人にペパーミントオイルを使ったらIBSの症状がやわらぐのか?」を示す数値のこと。治療の効果を確かめるためのゴールドスタンダードみたいな判断法です。


では、結果を見てみましょう〜。

  • 全体的なIBSの症状改善についての治療必要数は「3」だった
  • 腹痛の改善については「4」だった

ってことで、ペパーミントオイルを飲むと3人にひとりは症状が改善するみたい。治療必要数が3ってのは、他の放送とくらべてもかなり良い数字と言えます。


ちなみに、このメタ分析は強みと弱みがありまして、

  • 強み:個人差がほとんど確認されていないので、どんな人にも等しい効果が期待できそう(これは結構めずらしい)
  • 弱み:データによってIBSの診断基準が違うので、そこらへんが結果に影響してそうな感じ

みたいになってます。ここのデータを見るとバイアスのリスクが高いのでそこは注意が必要ではありますが、「症状の改善」ついてのエビデンスレベルは高いですし、これだけ効果があるならやってみたほうがいいでしょうね(ただし腹痛についてはそこまで信頼性は高くない)。


というわけで、「お腹に謎の不調が続いている……」みたいな方は、ペパーミントオイルを試すのも一興でありましょう。とりあえず、実際にテストで使われた成分をふくむサプリを紹介しておきますので、気になる方はどーぞ。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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