前職の経験を活かして次の職場でも活躍しよう!は大間違いだ!というメタ分析の話s
使える人材を雇いたければ前職の経験を参考にしよう!ってのは一般的な採用プロセスかと思います。相手のことが何もわからない状態だったら、「これまでどんな仕事をしてたか?」とか「即戦力になりそうな体験をしているか?」ってポイントを参考にしたくなるのは当たり前ですんもね。
が、新しく出た論文(R)は、「前職の経験なんか参考にしてもムダだ!」って結論になってておもしろかったです。
これはフロリダ州立大学の論文で、過去60年の「人事研究」から約1,500件を抜き出し、さらに信頼度が高いデータをまとめたメタ分析になっております。なかなか信頼性が高いデータになってていいですねー。
では、それで何がわかったかと言いますと、
- 前職の経験と新しい仕事のパフォーマンスの相関を調べたデータは44件。すべてをまとめたところ、前職の経験があろうがなかろうが新しい仕事のパフォーマンスには差が出なかった
- 前職の経験と新しい仕事の「見習い期間」のパフォーマンスの相関を調べたデータは21件。こちらも、前職の経験はトレーニング期間のパフォーマンスに影響を与えないことがわかった
- 前職の経験と新しい仕事の離職率の相関を調べたデータは32件。こちらも、前職の経験があってもなくても、新たな職場での離職率には影響がなかった
みたいな感じです。ざっくり言えば、前職で似たような体験をしてても新たな職場で活躍できるわけじゃないし、すぐに辞める人はやめるんだってことですな。
研究チームいわく、
前職の経験は、新しい職場のパフォーマンスを予測するための役には立たない。大半の場面では、前職の経験で人材を選ぶのは不可能なのだ。
多くの会社は、前職で似たような仕事をしていた候補者を好む。これはとても直感的なアプローチだが、前職の経験が重要だと思うのは自然なことだ。前職の経験があれば、同じスキルと知識が流用できるはずだと誰もが思うだろう。
このデータは、経験が無意味だと言いたいわけではない。重要なのは、より生産性が高い人材を雇いたいなら、前職の経験を使うよりも良い方法があるはずだ、という点だ。
とのこと。その「もっとよい方法」までは論文に触れられてないんですが、経験はパフォーマンスに直結しない!って知見は、人を雇う側だけじゃなくて雇われる側にとっても大事っすね。
なんせ前に似たような業界で働いてても、次の職場で活躍できるかはわかんないわけですから。「同じような仕事だから」って考えで次の職を選ぶと大惨事になるかもですな。