メンタルを病まないための最低限の労働時間ってどれぐらいなの?みたいな観察研究の話
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週に40時間以上働くと早死にするぞ!とか週に30時間以上働くと頭が悪くなるぞ!とか、とかく最近は長時間労働の害が言われがちなわけです。
で、今度は「メンタルを病まないための最適な労働時間は?」って問題を調べたデータ(R)が出てておもしろかったです。
これはケンブリッジ大学などの研究で、イギリスに住む71,113人の男女を対象にした観察研究になっております。まずは研究チームの問題意識からどーぞ。
ビタミンCから睡眠時間まで、あらゆるものには適量がある。しかし、労働時間の適量について調べた研究はこれが初めてだ。
これまでのデータによれば、無職が人の幸福に悪影響を与えることはよく知られてきた。職がないと、個人のアイデンティティ、ステータス、時間の使い方、集団への帰属意識などが悪化してしまう。
職がないとメンタルが激しく落ち込むのは常識だけど、どれだけ働けば幸福感がマックスになるのか?ってポイントは、これまでちゃんと調べられてなかったよねーってことですね。
調査期間は9年間で、何をチェックしたかと言いますと、
- メンタルヘルスの変化
- 人生の満足度
- 労働時間の変化
などを定期的に調べて、それぞれの相関を分析したんですな。
でもって、すべてをまとめたうえで、世帯収入や子供の有無、病気、学習レベルなどを調整したところ、こんなことがわかりました。
- 無職な人が職を見つけると、それからメンタルを病む確率が30%下がる!
- 週に1日以上働いても、メンタルヘルスの低下リスクに違いはない!
- 一般的な労働時間(週に36〜40時間)より少なめに働いても、メンタルは良くも悪くもならない
だそうです。つまり、無職によるメンタルヘルスの悪化を防ぐためには週に1日だけ働いてりゃオッケー!ってことですな。
って、これはあくまで「メンタルの悪化を防ぐ最低ライン」の話なんで、たとえば「幸福度を最大化する労働時間は?」とか「人生の意味感が高まる労働時間は?」みたいな疑問についてはよくわからんです。職種やボランティア作業なんかは考慮されてないし、職場の環境みたいなデータも組み込まれてないので、そこらへんはご注意いただければと。
研究チームいわく、
週に40時間働くという伝統的なモデルは、労働時間と幸福レベルについて調べた定量的なエビデンスにもとづいたものではない。今回の研究は、週に1日ぐらいのマイクロジョブでも、フルタイムジョブと同じレベルの心理的なメリットを得られることを示した。
とのこと。いまんとこ私は週に平均で70〜90時間ぐらい働いてますんで、ちょっと週1日労働を試してみたいもんですなぁ。「こんな働かないで大丈夫だろうか……」とか不安に襲われてリラックスできなそうな気もしますけども。