「お菓子の香りをかいだら食欲が暴走した!」をダイエット飲料が救うかも!という実験のお話
人工甘味料の是非については諸説ありまして、
- 肥満の人ならダイエットに役立つかも?
- 空腹時血糖値が改善するかも?
といったメリットがささやかれる一方で、どうも「人工甘味料の種類によって人体の反応が違うのでは?」なんて話も出てきたりしております。
そんなわけで、いまんとこ「別に目立った悪影響があるわけじゃないけど、無理に使う必要もなかんべな」ぐらいの感想に落ち着いてるんですけど、まだよくわからんと言えばよくわからんところです。
で、新しいデータ(R)は「人工甘味料で食欲はコントロールできるのか?」って問題に新しい知見を与えてくれる内容になっておりました。
これはリバプール大学の研究で、2つの実験をとおして「ダイエット飲料は食欲に影響を与えるのか?」ってところを調べてくれたんですよ。それぞれのデザインはこんな感じになってます。
実験1
まず実験の前提はこんな感じです。
- 被験者は「よくダイエット飲料を飲む男女60人」と「ダイエット飲料を飲まない男女60人」の2グループ(年齢は31.44 ± 8.54歳)
- 全員に複数の質問を行い、「日々の食欲はどんな感じですか?」やら「ダイエット飲料にどんな印象を抱いてますか?」「チョコレートは好きですか?」といったいろんなポイントをチェックする
その上で、どんなことをしたかと言いますと、
- みんなをラボに呼んで、半分にはチョコレートの匂いを嗅いでもらい、残り半分にはチョコレートと同じサイズの木をわたす(要するに、チョコレートで食欲を刺激したわけですな)
- その後で全員に甘いお菓子を配り、さらにいろんなドリンク(水や人工甘味料入りドリンクをふくむ)を渡して、「好きなように飲み食いしてください!」と指示
みたいになってます。事前にチョコレートの香りで食欲を刺激させたあと、そこから実際にどんな変化が出るかを見たわけっすね。
で、結果はこんな感じでした。
- 事前にチョコレートの香りをかいだグループは、基本的にはその後のカロリー摂取量が増しやすかった(これは当たり前ですね)
- が、カロリー摂取量が増した人たちをさらにくわしくチェックしたら、普段はほとんど人工甘味料入りのドリンクを飲まない人が多かった
- 普段から人工甘味料入りのドリンクをよく飲む人は、事前に食欲を刺激されてもカロリー摂取量に違いはなかった
要するに、ここからどんなことが推測できるのかというと、
- 普段から人工甘味料を飲んでいる人は、食欲の刺激に強くなってるのでは?
ってことです。人工甘味料の甘みに脳が慣れてるおかげで、刺激に左右されにくくなってる可能性があるのではないか?という話でして、おもしろいもんですな。
実験2
ってことで次の実験ではどんなことをしたかというと、こちらは「普段から人工甘味料をよく飲んでいる男女172人」を対象にしてまして、全体をグループに分けてます。
- チョコレートの匂いをかいだあとで、お菓子と人工甘味料入りのドリンクを好きなだけ飲む
- チョコレートの匂いをかいだあとで、お菓子と人工甘味料が入ってないドリンクを好きなだけ飲む
- チョコレートの匂いをかがずに、お菓子と人工甘味料入りのドリンクを好きなだけ飲む
- チョコレートの匂いをかがずに、お菓子と人工甘味料が入ってないドリンクを好きなだけ飲む
その上でみんながどれぐらいカロリーを摂取したかを調べたら、こんな感じになりました。
- 人工甘味料入りのドリンクの有無に関わらず、チョコレートで刺激されたグループのほうがカロリー摂取量は増えた
- ただし、全体的に見ると人工甘味料入りのドリンクがあった方が、そう摂取カロリーは減った
だったそうで、こちらは人工甘味料入りのドリンクがいいのか悪いのかようわからんようなことになっております。
これはなかなか解釈が難しい問題ではあるんですが、以上の結果を見てますと、
- 外部の刺激による食欲の増加をダイエット飲料がやわらげてくれる可能性はある
って感じにはなりましょう。たとえば、街を歩いててふとクッキーの香りをかいだり、テレビで美味しそうなお菓子を見たりとか、そんな状況下ではダイエット飲料も役に立つんじゃないか?とは申せましょう。なんか「お菓子が食べたい!」って衝動に駆られたら試してみても良さそうっすね。