HIITぐらいの高負荷な運動で記憶力が改善するかもだ!という実験のお話
運動が脳に良いってのはもはや「ほぼ確」な話なわけですが、
- どれぐらい運動すれば頭が良くなるの?
- どれぐらいの負荷で運動すれば頭が良くなるの?
ってところではまだ議論が続いてたりします。性別や年齢によって違いが出そうなんで、簡単にガイドラインを出せなさそうなテーマではありますが。
で、新しいデータ(R)は、「高負荷の運動で記憶力が上がるぞ!」って内容になってて参考になります。
これはクイーンズランド大学などの研究で、60〜88歳の高齢者64人を3つのグループに分けたそうな。
- HIITをやる
- 中負荷で長いエクササイズをする
- ストレッチをする(コントロール群)
HIITは当ブログではおなじみの運動法で、すごーく辛いエクササイズを短時間だけ行うテクニックのことです。くわしくは「いまさら聞けない「HIIT」超入門」などをご覧ください。「パレオダイエットの教科書」でも取り上げたとおり、個人的にも愛用している運動法のひとつであります。
各グループの運動法をいちおう説明しておくと、
- HIITグループ:トレッドミルで細かい休憩をはさみつつ4分の猛ダッシュ。最大心拍数の90 〜 95%を目指す
- 中負荷エクササイズグループ:最大心拍数の70 〜 75%を目指しつつ45分ぶっ続けで走る
みたいな感じです。そのうえで、以下のような認知テストを行なったんだそうな。
いずれも脳の発達や機能を調べる際に使われる定番のテストばっかりですね。
でもって、その結果がどうだったかと言いますと、
- HIITをやったグループのほうが、記憶力のパフォーマンスが最大で30%も高かった
- 中負荷エクササイズとストレッチグループには記憶力の向上が見られなかった
- 実行機能については、HIITと中負荷エクササイズグループの両方に改善が見られた
だったそうです。記憶力には高負荷エクササイズが効いて、実行機能はそそこそこの負荷がある運動なら改善されるってのは、ちょっとおもしろい違いですね。ちなみに「実行機能」は脳が決断を行うときに使う機能で、セルフコントロールなんかにも関わる機能であります。
研究チームいわく、
運動による脳機能の改善を始めるのなら、どんな年齢でも遅すぎるということはない。しかし、もしあなたがすでに高齢者であり、すぐに結果を出したいと思うならば、今回の研究は、エクササイズの負荷を増す必要がある可能性を示している。
とのことで、脳機能の向上にはより負荷の高いエクササイズが有効なんじゃない?ってポイントが強調されておりました。
まぁただし、言わずもがなかもしれませんが、運動に慣れてない高齢者の方が急にHIITに手をつけるとオーバーワークで逆効果になることもありますんで、そこはくれぐれもご注意ください。高齢の方が行う場合は、まず軽いウォーキングからスタートして、無理のない範囲で負荷を上げていくことをお勧めします。