ビタミンDがアルツハイマーの改善に役立つかも?というナイスな実験の話
今日も今日とてビタミンDの話でして、「ビタミンDがアルツハイマーの改善に役立つかも?」ってデータ(R)が出ておりました。
これは天津医科大学の研究で、アルツハイマーに悩む210人の高齢者さんが対象。年齢が65歳以上で身体的に健康な人だけを選んだそうな。
ざっくりと実験のデザインをまとめておくと、まずは全体を2つのグループに分けまして、
- 800IUのビタミンD3を飲む
- プラシーボサプリを飲む
って感じで6カ月目の時点で認知機能とアミロイドベータの量を検査。総計で12カ月後の違いをチェックしております。ちなみに、認知機能のチェックには「WAIS-RC」(R)という定番の検査法が使われたとのこと。二重盲検のランダム化比較試験になってまして、なかなかよろしいのではないでしょうか。
では、1年後にどんな違いが出たのかを、ざっくりまとめてみましょう。
- ビタミンDを飲んだグループは認知スコアが改善していた(p < 0.001)
- が、ビタミンDを飲んでも改善していない認知機能も結構あった
- ビタミンDを飲んだグループは、いちおうアミロイドベータに関するバイオマーカも改善していた
というわけで、全体的にはまぁまぁの効果が出たかなーぐらいの感じすね。ここでおもに違いが見られた認知能力としましては、
- 情報の処理力:「ロンドンとパリはどれぐらい離れてる?」みたいな雑学的な質問に答えられるかどうか
- 数唱テスト:ランダムな数字を耳で聞いた後、その通りに復唱できるかどうか
- ブロックデザイン:赤と白の模様が描かれたブロックを指示されたパターン通りに並べられるかどうか
といったあたりになっております。というわけで、この結果だけを見ると「アルツハイマー改善にビタミンDだ!」と言いたくなる感じなわけですけども、
- いろんなポイントを計測している上に調整がされてないので、どうにも偽陽性の可能性は残る
- 登録済報告書には「サンプルが120」になってるのに出版されたペーパーは210人になってて割と謎
みたいな問題がありまして、今後の展開によっては覆っちゃう可能性もデカそうだなーとは思ってります。
というわけで、まだよくわからんのが正直なとこですけど、とりあえずビタミンDとアルツハイマーの関係について調べたデータは初なので、長い目で見守って行きたいところです。いちおう動物モデルなんかでも、「ビタミンDは脳のアミロイドベータを減らすのに役立つかも?」って結果(R)も出てますし、まぁない話でもないのかな、と。
いずれにせよ、ビタミンDが脳の健康に大事なのは間違いないところですんで、もし血液検査などで体内のレベルが低いと判断された場合は十分な日光を浴びるかサプリ推奨であります。