「オタクの妄想」は我々を幸せにする!(あとマインドフル)という実験の話
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「オタクの妄想は幸福度アップに役立つ!」と主張する素敵な論文(R)が出ておりました。
これは広島大学の研究で、正式には「白昼夢が幸福度を上げる条件とは何か?」ってポイントを調べたものです。ここでいう「白昼夢」がどんな定義になってるかと言いますと、
起きている時間の中で、目の前のことに集中せずに、別のことについて頭の中で空想をめぐらしていること。
みたいな感じです。目の前の勉強からふと気がそれて妄想をめぐらせるのは、誰にでもよくある話でしょう。
この白昼夢と幸福度の関係は昔からよく調べられていて、「明日の幸せを科学する」で有名なダニエル・ギルバート博士が行った有名な実験(R)では「別のことに空想を巡らせてばかりの人は不幸だ!」みたいな結論が出てるんですよ。目の前のことに集中できずに他のことばっか考えてたら、確かに幸福度は低くなりそうですもんね。
が、そんな状況下、今回の研究では「実は日中の妄想で幸せになれるケースもあるのでは?」ってところを調べてくれたのがポイント。私のように妄想癖がある人にはうれしい研究じゃないでしょうか。
具体的には、日本人の男女800人を対象にインターネットで調査を行なっていて、以下のポイントをチェックしております。
- いつもどれぐらい白昼夢に入っているか?
- 幸福感はどれぐらいか?
- マインドフルネスのレベルはどれぐらいか?
- アニメやゲームにどの程度お金を費やしているか?
この設問からもわかるとおり、研究チームは「妄想で幸せになるにはマインドフルとオタク傾向が必要なのでは?」と考えたわけですね。
で、分析の結果はチームの読みどおりで、
- マインドフルネス傾向が高い人は白昼夢が多いほど幸福になる!
- オタク傾向が大きい人も白昼夢が多いほど幸福になる!
って傾向があったそうな。妄想で幸せになる条件は、やはりマインドフルかオタク傾向の2つだったわけっすね。
目の前のことに集中する「マインドフル」と白昼夢は真逆の概念のようですが、実は過去の研究では「俺はいま妄想を楽しんでいるのだ!」って自覚さえあれば幸福度が上がるってデータが出てたりします。つまり、妄想に対してマインドフルな状態を保つことができれば、それは幸福度を下げる要因にはならないってことですね。
さらに、もうひとつの「オタク傾向」で幸福度が上がる理由はよくわからんですが、
- もともとアニメやゲームが好きな人は妄想を楽しむスキルに長けている?
- アニメやゲームの妄想は自らが意図的に選択して行うものなのでマインドフルネス性が高いから?
といったことは言えそうであります。他の人よりもオタクは妄想慣れしているので、白昼夢を楽しむことができるんじゃないか、と。
さらに、研究チームは別の実験もしていて、
- アニメキャラ風の少女イラストを一瞬だけ見せる
- その後、参加者に「白昼夢の頻度」と「幸福度」について尋ねる
って手順で妄想と幸福度の関係について調べております。要するに、本人の記憶に残らないレベルでオタク的な情報を脳に送り込んだら、幸福度にはどんな影響が出るのかをチェックしたわけっすね。
その結果はやはりオタクコンテンツの強さを示してまして、
- オタク風のイラストを見せた場合、被験者の白昼夢の頻度と幸福感に正の関連が見られた!
って結果が確認されたんだそうな。やはりオタクコンテンツは幸せな白昼夢をもたらしてくれるのかもですねぇ。
ってことで話をまとめると、
- マインドフル傾向とオタク癖が強い人なら妄想で幸せになれるかも!
というわけで、なかなか楽しい研究ではないでしょうか。確かに「オタクは妄想を楽しむエキスパートなのだ!」って可能性は高そうですよね。