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筋トレの効果を上げるには「過去の自分+20%」を目指すといいかも?みたいな実験の話

 

少しずつボリュームを上げていくのが筋トレで成功するための基本。では、具体的にどんなふうに上げていけばいいの?ってことで、ちょっと参考になりそうなデータ(R)が出ておりました。



これは16人の若い男性を対象にしたテストで、筋トレ歴が平均5.1年ぐらいの人だけを選んだとのこと。実験ではみんなに週2回のレッグプレスとニーエクステンションを8週間ほど続けてもらいまして、その際に「右足と左足でトレーニングのやり方を変えてみて!」ってな指示を出してます。


どういうことかというと、

  1. レッグプレスとニーエクステンションを合わせて、右足は1週間のトータルが22セットになるように行う(つまり1エクササイズあたり5〜6セット)
  2. いっぽうで左足は、参加者が2週間前に行ったトレーニングに+20%したセット数を1週間でこなす

みたいな感じです。右足と左足で違うトレーニングを行うのは、筋トレ系の研究ではわりとよくあるやり方なんですよね。


実験では、どちらのコンディションでも「もう足が動かない!」ってレベルまで筋肉を追い込むように指示(セット間の休憩は2分)。各トレーニングの負荷は、どちらの脚も8〜12回の反復で限界が来るように調整したそうな。「トレーニングを標準化する」と「過去の自分を参考にトレーニングを個別化する」では、どっちがいいのかを調べたわけですねー。



でもって、8週間後に超音波スキャンで筋肉の増え方をチェックしたところ、結果はこんな感じになりました。

  • 「週22セットに固定」よりも「過去の自分に+20%セット」のほうが太ももの筋肉が増加えていた(+9.9% vs. +6.2%;p=0.042;平均差=1.08cm2)
  • 参加者16人中10人は、超音波スキャンの典型的な測定誤差よりも筋肉の増え方が大きかった

というわけで、過去の自分のトレーニングを参考に次のセット数を決めたほうが、筋肉の増え方は大きかったみたい。


まぁ考えてみればそれもそのはずでして、平均すると両足のトレーニングボリュームは同じぐらいになるもの、個人を見ると大きな違いがあるんですよね。データを見てみますと、

  • トレーニングを「週22セットに固定」した場合、人によっては以前よりボリュームが50%下がった人もいれば、120%増加した人もいた。

って感じで結構なバラつきが見られるんで、そりゃあ「週22セットに固定」で筋肉が増えなくなった人がいても当然でしょう。


なんだかすごく当たり前のことを書いてるようですが、実はこのポイントは従来の筋トレ研究ではあまり語られてこなかった話なんですよ。従来の筋トレボリュームについて調べた研究って、参加者の過去のトレーニング履歴を考慮せずに行われちゃうケースが多かったものですから。


例えば、「週10セットと週30セットの違いを調べるぞ!」と思った場合も、「これまで週に5セットしかやってこなかった人」と「これまで週に40セットをやってきた筋トレの鬼」を一緒くたに扱ってたわけですね。これだとなかなか正確な答えは出ないよなーってのは、昔から指摘されてたことではあったんですよ。


その点で今回のテストは

  1. 過去のトレーニング履歴を無視してセット数を決めちゃうパターン
  2. 過去を参照ポイントにしてセット数を決めるパターン

の効果を測定していて、なかなかよろしいなーと思うわけですね。


ただ、もちろんこの実験だけだと「2週間おきに20%ずつセット数を増やすのがベストなの?」ってのはわからないんですが、とりあえずいまのボリュームに慣れちゃってる人は参考にしてもいいかもですなー。

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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