「甘いお菓子がやめられない!」は腸に原因があるんじゃ無いか?という動物実験のお話
「甘いお菓子がやめられないのは腸のせいだ!」みたいなデータ(R)が発表されておりました。大多数の人間が砂糖の味を好むのは、腸の影響が大きいのではないかというんですな。
これはコロンビア大学によるマウス実験で、まず結論からまとめると、
- 腸は迷走神経を使って「もっと砂糖を食え!」と脳に指令を出している
みたいになります。迷走神経ってのは脳からお腹のとこまで伸びる神経で、人間の感覚や運動能力をコントロールしております。この経路を使って人間の腸が脳に命令を出してるんだ、と。
具体的にどんな実験だったかと言いますと、
- 「人工甘味料入りの水」と「砂糖水」の2つを用意してマウスたちに自由に飲ませる
- 迷走神経の活動をモニターして、腸から脳にどのような情報が伝わっているかを調べる
みたいになってます。もし人間が舌の味覚だけで砂糖を検知してるなら、人工甘味料で脳をダマすことも可能なはず。しかし、舌のほかにも糖分を検知するメカニズムがあるなら、マウスは人工甘味料よりも砂糖を選ぶはずだ!と研究チームは推測したわけですね。
すると、結果はまさに読みどおりでして、以下のような現象が確認されたそうな。
- ネズミたちは人工甘味料よりも砂糖水をガブ飲みする傾向があった
- 舌にある甘味センサーを削除しても、ネズミたちは砂糖水を好んだ
- 消化管に糖があるときにだけ作動する腸内センサーが、脳に直接信号を送っていた(糖輸送タンパク質を使っていた)
- 腸と脳の回路を抑制することで、マウスの砂糖好きがなくなった
要するに、マウスの腸内に「本物の砂糖にしか反応しないセンサー」が見つかったわけですね。
研究チームいわく、
ダイエットソーダなどに使われる人工甘味料は、砂糖に味は似ているかもしれないが、脳は違いを見分けることができる。
今回の実験は、本物の糖を感知するために、生物は2つの独立したシステムを持つ可能性を示す。ひとつは舌からの入力であり、もうひとつは消化管からの入力だ。
消化管を使った回路をコントロールできれば、糖に対するわれわれの抑えられない衝動を抑制するための、より効果的な戦略が生まれるかもしれない。
とのこと。動物実験の段階なんでヒトにも同じことが言えるかは謎ですが、おそらく人体にも同じような「腸内砂糖センサー」があるのではいかと推測されております。
このデータをもとに砂糖への欲望をコントロールするのはまだ無理ですけど、現時点では、
- ハチミツ、メープルシロップ、フルーツジュースなどにふくまれる添加の砂糖、高果糖コーンシロップ、天然糖などは、総摂取カロリーの5%だけに限る!というWHOの推奨ガイドラインを守る(1日2,000kcalを食べる人なら約25グラムぐらい)
- 腸が脳を支配しているのは間違い無いし、ジャンクフードのドカ食いにも関わってる可能性があるので、とりあえず腸内環境はちゃんとしておこう!
ぐらいのことを守りつつ、本当に脳をハックできるような代替糖が開発されるまで待ちましょう。