ジャンクフードが「やめられないとまらない」のは、脳と腸がダメージを受けているのが原因だった
以前、加工食品の中毒性について取材した「フードトラップ」って本をご紹介しました。「現代のジャンクフードは、人間の食欲を暴走させるために綿密にデザインされてるから気をつけようね!」って内容でして、とくに砂糖・脂肪・塩の組み合わせがヤバいんだって話です。
当ブロブでも「加工食品の中毒性」については死ぬほど取り上げてますが、新しく出た論文(1)は、ジャンクフードが人間の脳を狂わせる仕組みについてまで踏み込んでいておもしろいです。
これはビンガムトン大学の実験で、マウスたちに高脂肪なジャンクフード(脂肪量35%)を食べさせてみたんですね。すると、当然ながら数週間で激太りが始まったわけですが、ここで研究者たちは、すべてのマウスたちの脳と腸内環境を調べてみたんだそうな。
その結果は、
マウスたちに高脂肪の食事をあたえてからすぐに、脳の回路に大きな変化が見られました。バランスの悪い食事によって、脳は簡単に変わってしまうのです。
この変化は、脳の食欲中枢に炎症を起こします。そして、脳の炎症によって、適当な満腹感が得られなくなります。
とのこと。言わずもがな「慢性炎症」はアンチエイジングの大敵ですが、ジャンクフードによって脳にも火事が起きるんだ、と。これは怖い。
さらに、ダメージを受けるのは脳だけではないようで、
わたしたちの腸内には、たくさんの種類のバクテリアが住み着き、適切なバランスを保っている。通常は、腸内でバクテリアが増えすぎてしまうことはない。ささいな変化はあるが、腸内細菌の数は安定している。
ところが、マウスたちにジャンクフードをあたえると、すぐに腸内細菌に変化が起きた。これまでとは違うタイプの栄養素が腸内環境を買え、いくつかのバクテリアの数が急増し始めたのだ。そのため、弱いバクテリアから死んでいき、いくつかは完全に絶滅してしまった。
とのこと。ヒトの腸は脳につながってまして、細菌のバランスが悪いとメンタルをやられたり、肌トラブルが起きたりするんですが、ほかにも食欲を暴走させる可能性が大。以前に「ファストフードを食べ続けると、ヒトの腸内は2日でデブ菌だらけになる」で紹介した現象が、マウス実験でも確認された形であります。
つまり、ジャンクフードを食べると、
- 脳に炎症が起きて食欲コントロール機能がやられる
- 荒れた腸内細菌が脳に「食べろ!」と指令を出す
という2段構えで食欲を暴走させるわけですね。ジャンクフードが「やめられないとまらない」のは、別に味がいいからでなはなく、たんに脳と腸がダメージを受けているのが原因なんだ、と。
そんなわけで、食欲を最適レベルに保つためには、加工食品を減らすのは大前提として、さらにはカロリーの質にも気を配っていくのが大事だなーとあらためて痛感した次第です。
credit: Hey Paul Studios via FindCC